2011年6月28日火曜日

村上和雄(筑波大学名誉教授)    ・遺伝子の謎に挑んで

村上和雄             遺伝子の謎に挑んで
<概要>
筑波大学名誉教授  遺伝子研究を始めて50年以上  DNAの働きが判っているのは2~3% 
残りの98%程度は働きが判っていない
遺伝子はONとOFFを繰り返しているが、そのON、OFFに関係しているのではないかと考えている
いい環境とかポジティブな考えがONにする  
ONにすることにより素晴らしい可能性の花が開くかも知れない  
ネガティブなストレスは癌や病気のもとにもなる
笑いはいいストレス 健康によい   
心の持ち方によって遺伝子がON,OFFにすることが出来るようになるのではないか

1953年遺伝子の本体が判る DNA→その後ものすごい発展を遂げる  
一人の遺伝子暗号を解明するのに1000億円をかけた
10年後には10万円で解明出来るだろうと云われている(加速度的に進歩している)
一人一人の遺伝子を解明できるようになると、病院ではオーダーメイドの医療法(一人一人の)が出来るようになる可能性あり、レニンという酵素を研究していたが、限界に達する→遺伝子工学という学問を開始 人のホルモン、タンパク質を大腸菌で作れるということで30年近く前の酵素の研究から遺伝子の研究にシフトする

(*レニン:アンジオテンシノーゲンのペプチド結合を分解してアンジオテンシンIを合成するタンパク質分解酵素の一種)

この酵素は間接的に血圧を調節する。またレニン酵素タンパク質の遺伝子の活性が強いと
高血圧になりやすくなる
高血圧の遺伝子の解明で大きな業績を上げることが出来た
遺伝子は親から受け継ぐ  遺伝子はダイナミックに働く事が最近解ってきた  
遺伝子はONとOFFを繰り返している
DNAの働きが判っているのはせいぜい2から3% あとの98%程度はどんな働きをしているのか
さっぱり分からない(ONとOFFに関係しているのではないかと考える)

良い遺伝子を起こして、悪い遺伝子を眠らしてしまえば、いろいろな効果が考えられる
石川遼の父親と対談したが、石川家にはすぐれたスポーツをする人はいないという  
誰でも素晴らしい可能性を秘めている 環境が非常に大事である
石川遼は環境がそうさせた可能性が十分考えられる  
人間はオオカミに育てられるとオオカミ少年、少女になる  遺伝子は変わってはいない
環境が人間の能力とか才能とか、性格にいかに大きな影響を及ぼすか頷る
今 豊臣秀吉のクローンを作っても 絶対太閤秀吉には成れない 顔はその様になるが環境によって作用される

運動はいいというのは解っている 何十万年も人間は動いてきたが、最近は動かない  
認知症の人も動いた方がいい
動かすと筋肉が付く→筋肉に蛋白質が付く   
どんなタンパク質を作れというのは遺伝子に書いてある
運動によって遺伝子がスイッチONになる  
32億文字の遺伝子を人間は細胞に持っている 
1ページ 1000文字の 1000ページの本を3200冊相当が一つの細胞の核に中にそれが含まれている 
人間の細胞は60兆個といわれる  
成人一人1kg当たり 1兆個といわれる(数えたことはない)
60兆×32億文字が人間の体の中にある  皆自分の花を咲かせる可能性がある  
私達は皆、人と比較する
38億年の遺伝子を連綿と受け継いで人間は今まで生きてきた  生きていることがありがたい  
私達は生きていることが当たり前と思っている
どれだけの奇跡かというと ジャンボ宝くじ1億円を 100万回当るような確率
大震災は国難に当たるけれど、私達はこれを大きな学びの場にしないと亡くなった人に対して申し訳がないと思っている
これは天からのメッセージであり人間は傲慢になっている (何でも科学が出来ると云うような) 
自然をわかっていない 謙虚に生きる必要がある
日本人全体に対するメッセージのような気がする  有りがたい 感謝の気持ち 
運動とか食べ物で遺伝子がONになるとおもわれる 環境の中に心がある 
心の持ち方によって遺伝子がON,OFFにすることが出来るようになるのではないか
笑うと癌が治る 遺伝子のON、OFFもかえられるんじゃないかと思った
 
仕事も好きな仕事をやるとあまり疲れない 嫌な仕事をやれば直ぐ疲れる 
環境という中に心がある  
心はどこにあるのか
2つに分けた  陽気な心(楽しい、嬉しい、感動する、喜ぶ 深い祈り、ポジティブな心)はポジティブな遺伝子のスイッチをONにする
ネガティブ(不安、恐怖、いらいら) ポジティブなストレス、ネガティブなストレスがある  
今はストレスの時代である
多くの病気はストレスが原因になっている  
癌、高血圧、糖尿病、 特に精神的な病気はストレス (うつ病しかり)実験でも証明されている

ネズミを虐めると胃潰瘍になる ネズミを虐めるのは優しいが喜ばすのは難しい 
ネガティブなストレスは血糖値が上がる
ポジティブなストレス→笑いで血糖値を下げることが出来る  笑い療法が出来る可能性はある
どの遺伝子が笑いでON という事が判り始めた  
笑いと遺伝子で博士号をとった人が日本で世界で初めて楽しい心が遺伝子をスイッチONにする一つの証拠ではないかと思う

天才的音楽家、画家等の回りが決してそのような人がいない  
環境、本人の努力というものが非常に大きい
イチローは大リーグという環境に行ったことにより、大リーグの記録を塗り替える事が出来た
(日本にいれば日本のイチローで終わった)
(世界のひのき舞台 メジャーに行ったという事が遺伝子のスイッチをONにした)
アメリカは科学技術に関しては超一流(ノーベル賞受賞300人) 立派な人に会うと刺激を受ける
私の研究のきっかけを作ってくれた人はノーベル賞を貰ったスタンリー・コーエンという人 
この人との出会いがきっかけとなっている
出合わなければ、高血圧の研究はなかったと思う

他の例  利根川進氏 免疫をやれというサジェション有  免疫の常識をひっくり返すよな事をしたその教授のもとには5名のノーベル賞を貰った人達がいる
石川遼、野村監督(上手に人を育てている) サジェッションが有効に作用  先生、親は子供に遺伝子のスイッチをONにするようにする必要がある
良いことはほめる 自信を持たす こういう分野がこれからは面白い 
親が才能を見出してやる・・・教育(夢と志)
日本をどうしたいか 夢、志が最近の若者にはない 
明治維新は20代の人が日本を変えようとした

大震災は国難であるが、ここで日本人がどういう生き方をすれば人間は幸せになれるか
 どんな国にするのか 考え直すチャンスに出来れば国難は生きる
不自由で嘆いているだけでは多くの犠牲者に対して申し訳ない 
21世紀は日本の世紀がやってくる・・・ダライラマとの会見で彼がいう
日本は壊滅的な敗戦から見事に立ち直った  そして科学技術も身に付けた  
仏教、神道がある 自然を敬い神仏を尊ぶ、共生してゆくものがある
「いただきます」・・・動植物の生命をいただくということ
太陽がないと動植物は生きられない 
水、空気、地球 こういうものが生き物を育ててその生命に対して「いただきます」

「お陰様」「もったいない」も英語に訳せない
物を作るのにおおくの人、時間、エネルギーを使うのでそれに対する感謝があるのだと思う
もったいない事をすると天罰が当たる  天は日本の独特な考え方 人間を超える大きなもの 
自然を敬うような自然の中に神様を感じるような伝統を持ちながら科学技術が発達し経済発展は 日本しかないと彼は云っている
目先の事、物質的なこと、経済とか、に趣を置いてきた  
そういうことだけではないという事を今回の大震災で教えてもらった
生きていることはどれぐらいありがたいことか 日本が出番が世界に来るためのチャンスにしないと申し訳ないと思いました

2000年ぐらい考えてきた言葉というのは文化である、考え方を表している  
日本は世界から尊敬される国になる
世界から日本は注目され、見直されているということは国難がポジティブな面を持ってる
大震災に会うような こういう局面にならないとなかなか自覚できない 
21世紀の最大の問題(解決する為に)は環境問題である
解決するためには、遺伝子の暗号は全生物共有  カビ、鳥、植物・・・全部同じ因子暗号を使っている 
そして繋がっている 生物は全部繋がっている
全部繋がっているということを考えないと環境問題は解決しない  地球は人間様だけではない 
今、地球に優しいというが、それは傲慢である
地球生命体が優しいのである  
人間のわがままを今まで許してくれたが、そろそろ限界にきている
それが環境問題、温暖化です  学問を、何十年と地震学をやってきたが判らない 
それを判ると思ってきた 
生命科学も50年間やってきた  
しかし生き物というのは如何に凄いかということ生命については殆ど解らない
今の科学が駄目なのではなく 生きていることが細胞一個が如何に凄いか 
まして60兆の細胞が助け合いながら生きているというのはただ事ではない

「偉大なる何もの」Some thing great それが神仏かもしれないし 大自然かもしれない 
科学的にはsome thingでなにも解らない
偉大な存在がないと生き物が偶然出鱈目に生まれてくるわけがない
生命の親みたいなものが、存在する、働きがあると思っている  
それを人類は神仏という事で日本人はお天道様ということでずっと考えてきた
それを最近忘れかけている  
科学を50年間やって来て、遺伝子にとりついて暗号解読をやってきたが、人間、生きていることの素晴らしさ有り難さ、を少し知ってもらおうと思って、  本を書いたり、講演をしている