2011年9月15日木曜日

片田敏孝(群馬大学大学院教授)  ・防災教育

 片田敏孝(群馬大学大学院教授)    防災教育  
子供への防災教育 岩手県の釜石市の小、中学生に8年前から教えてきた
教えてきた核となるもの→どんな津波が来ても兎に角逃げると云う事 それしかできない 
それに徹してきた
中学生は守られる立場ではなく、守ってあげる立場だ (近くの小学生やお年寄り)
3/11の津波では本当に多くの小学生を救ってくれたし、お年寄りや保育園の子供を連れて逃げてくれた 中学生が救った命はおおいと思う
津浪警報、避難勧告がでても逃げないと云う事が何時も報道される 
おかしな状況だなと思っていた
日本の防災というのはあまりにも行政主体でおこなわれてきた 
防災人任せ、防災行政任せみたいなところがある 

他人任せみたいになってしまったのが日本の防災なんですね (堤防は作ってくれる等)
子供たちはそのような環境の中で育ってきたので自分の命は自分で守るということが徹底できていない
子供たちに言ってきたのは 
①想定を信じるな 具体的に言うとハザードマップ(明治三陸津浪を想定)から自分の家は大丈夫と   思っているかも知れないが
 それより大きな津波が来たらどうするの というとあーそうかと納得する
②いかなる状況においても君はそのなかで最善を尽くすんだ(相手は自然 どのように変化するか判らない 固定的な考えで居ると対抗の固定化を招いてしまう)
 最善を尽くしても死んでしまうかも知れない それは仕方のない事だ
③率先避難者たれ 誰よりも真っ先に避難せよ 疑心暗鬼の状態の中でまさか自分はそんな状況に置かれているはずはないと思いながら不安定な状況にある
 そんな中で一番最初に堰を切ったように走り始める 誰かが逃げ始めると付いて行っちゃう (集団同調) 

 率先避難者になることによって自分が助かると同時に皆を助けることが出来る
 倫理観に反するのでは→ 自分が助からないと人を助けることはできない
学年をまたいで教えることは非常に難しい 
小学校1年生向きに優しい言葉でしゃべると6年生等は面白くなさそうにする 
6年生を対象に話すと低学年は付いてこれない
中学生になってくると 人間てなかなか逃げられない 逃げられない自分を教える
 14校3000人に教えることが出来ないので先生の協力を仰ぐ
学年進行に伴う教え方について相談した  
小学低学年 中学年 高学年 中学生の4グループに分けて相応の教育内容にする

防災教育に時間があまり取れないので、先生たちに工夫してもらい、各教科のなかで少し取入れて展開してもらった
最初8年より前に大人を対象に講演をしていたが、同じ人しか来ない(防災意識の高い人しか来ない)
大人より子供に教育した方がいいと判断してその後は子供対象の防災教育へと変更した・・・子供には7年間防災教育をした
当日は八戸で防災の講演会をしていた 
携帯電話の緊急地震速報が一斉に鳴り響いた 
初期微動が長いと遠いい 短いと震源地が近いので測ってみようとした
 いきなりドドドーンときたのでただ事ではないと感じた

もしリヤカーでお年寄りを助けるような行動をしていたら助からないだろうなとTV画面を見ながら思った (リヤカーでの教育訓練もしていた)
逃げていてくれ まずは自分の命だろうと 画面を見ながら思った
14日NHKの番組の後、釜石に入った かなり内陸でも跡形もなく破壊されている 
どう考えても子供たちは多く残っていないはずだと思った
市の災害対策本部に入る 何とお詫びしようかと考えていた 
初代防災課長が飛んできて開口一番「先生 ありがとう」と言ってくれた

釜石の子供たちはみんな生き残りましたと言われた 
これまで50年生きてきたが一番嬉しかった情報です
後でわかったが休んでいた子供含め5人の子供が亡くなった
期待以上の事をやっていた 
ハザードマップでは大丈夫な学校でも避難警報が鳴る前に、先生から指示されるまでもなく、揺れている中、一目散に逃げている
最初に逃げたのは指定避難場所 「津波がくるぞーと学校に叫びながら」 近くの小学校にも声をかける 
小学校の先生は生徒を3階に避難させていたが,中学生の声に従い(合同避難訓練を実施していた)中学生と一緒に逃げた
 
最初の避難場所の崖が崩れているのが判り 一段高いところに市の避難場所があるのでそこに逃げようと提案したのも中学生だった
小学生の手をひいて新たな避難場所に向かうが、中途でお年寄りや幼稚園の人々に会い一緒に逃げる
大人に拡げてゆくためには→ 難しい 子供に教える事の副次効果として お母さん(普段時間がなく防災教育を受ける機会がない) 伝える手段 家庭に拡げる
もし君が家に一人でいるときに、大きな地震がありました 
君ならどうする→お母さんに連絡するが大半→家に持って帰らせた→保護者の方へと文を付けくわえた
 
「御自身の御子さんの回答を見てみてください 貴方の御子さんは次の津波の時に生きることの出来るお子さんですか?」→学校の電話が一杯鳴る→学校の防災教育はどうなっているのか 
お母さんと共闘態勢を持って子供たちを守りましょうと云うプロジェクトが立ち上がったようなもの子供が学校に居るのは高々20% 80%は家庭にいる  
連携しなければ子供の命は守れない 家庭の防災に力を入れた  地域にも広げる 
今後津浪が来るであろうと思われている 東海、 東南海  静岡県下では5分で全地域に津波が来てしまう 
愛知、三重 和歌山 徳島 高知 津浪危険地域に足を運びたい  
釜石に学ぶべき点は、反省点はどこかを実直に話をして間違いを繰り返すな   
成功した部分は学べ より多く展開したい