2011年9月17日土曜日

中島哲円(妙通寺住職 69歳)  ・若狭から福島を思う

 中島哲円(妙通寺住職 69歳)    若狭から福島を思う  
15基の原子力発電所が集中している 
関西電力が美浜、大井、高浜に11基 日本原子力発電が敦賀に2基 日本原子力開発機構が敦賀に高速増殖炉もんじゅ,ふげん(廃炉)を持っている  
それらに囲まれている小浜市はこれまで原発や使用済み核燃料中間貯蔵施設野設置を住民の意志で拒否してきました   
小浜市は原発からの脱却を求める意見書を全会一致で可決した  
国に対してエネルギー政策の抜本的な転換を図り期限を定めて原発から脱却することを求めている

福島は東の原発銀座 10基 若狭は西の原発銀座 決してよそ事ではなかった 判りすぎるほど判るような気持ちを抱いていた 非常に心を痛めている 
鳩ぽッぽ通信 原発反対小浜市民の機関紙 2010年10月号 もし101回目にオオカミが来たらうそつき少年の世評を得る どうやら原発の森のど真ん中に,凶暴なオオカミが住んでいる事は本当らしいし、平和な原発の内部に悪魔が隠れ潜んでいることも間違いないようだ  
だからこそ辺境の地に原発は作られてきたのではなかったか スリーマイルアイランドやチェルノブイリの原発大事故は上記の杞憂が決して無効でなかったことを証明したのではないだろうか

日本の原発は大丈夫という声高な保証は果していかが 加えて日本は地震大国と来ている 
地震の静穏期から動乱期に既に入った事は専門家の指摘を待つまでもなく,私達市民でも直感できる  
それから5カ月で事故が発生してしまい何故世論をかきたて防げなかったのかと、忸怩たる思いがある  
①立地差別 過疎地に原発が設置されてきた  
②被爆管理手帳をもって被爆を条件に働かなければならない そういう人たちによって日本の原発は運転されてきた
③原発の災害弱者は子供たちである事がはっきりした (子供、乳幼児、妊産婦)  
④人間だけが被爆するんじゃなくて大気も水も土も生きとし生けるもの全てが被災
最終的に人類全体に跳ね返ってくる

100万KWの原発が1年間何のトラブルもなしに稼働したとしてもその中は 使用済み核燃料の中には広島原爆1000発分の死の灰と、長崎原爆30発分のプルトニュームが
嫌がおうにも生成されてしまうと云う 40年も前に化学者の講演で聞きました→過疎での建設 インフラ整備との差し替え 用地買収、漁業補償 ・・・等々の誘惑はあった  
小浜市は2度阻止した 日本全体では20数地点が阻止している 
安全に対する説明 →5重の壁で守っているから大丈夫 事故が起こってもすぐに止めて原子炉を冷やすことが出来る 放射能を外に出す事はありません
セシウム137は広島原爆の168倍の量が出てしまっている 報道がある 

使用済み核燃料の説明は→もったいないから再利用しますと云う回答  再処理をしてプルトニュームを取り出し高速増殖炉に利用します
六ヶ所村に使用済み燃料を再処理出来る施設をつくったが、満杯状態になり 青森県陸奥市に施設を作り始める
小浜市も候補地に挙がったが、2004,2008年に阻止をした
若狭湾沿いでの原発事故→1991年2月9日に起こった美浜2号のギロチン破断の事故が一番大きな最初の事故
放射能を含んだ蒸気も噴出 電話が鳴りっぱなし  
長男が放射能なんかで死にたくないよと訴える

もんじゅ建設を止めてほしいと1985年に提訴 第1回目の口頭弁論 4月25日 原告団長 磯辺仁三さんが意見陳述 最初原発賛成だったが、いろいろ視察、本を読んだりして,原発は反対だと訴えた 
弁論の最終で「科学者たちよおごるなかれ」と法廷中に響き渡るような声で一喝をされた 
大拍手→翌日チェルノブイリ原発大事故が起きた  
1995年にもんじゅがナトリウム火災事故を起こす  
水の代わりに液体ナトリウムを使って冷やすやり方 千数百トンという量 配管は薄くないと熱交換効率を考えると駄目

原発で作業する人達の被爆実態は→80年代当初からの現場の生の声は聞いている 
被爆労働者を束ねている親方 経営者の方は新聞等に断片的に出ている
2009年のデータですが、13基の原発の中で正社員として働いてきた人はトータルで2300人 
下請け、孫請け、4次、5次の前近代的な下請け構造で成り立っている
下請け被爆労働者は18604人いた 
一定程度放射線を浴びてはいけないと云う基準を越えてしまうと下請けの被爆労働は出来なくなってしまう 使い捨てられる
40年間での累計は被爆管理手帳を持って働いている労働者の数は去年の3月末現在で45万人を突破した

今度の事故で1万人は居るのではないか  
既に45万人の中には国の外郭団体がやっている疫学調査の中でもすでに2000~3000人の人が亡くなっている
但し因果関係は認められてはいない 
白血病、癌で亡くなっているが直接、間接には効いている 
公的には因果関係は認められない状態
これからどういう方向で行けばよいのか→エネルギーの転換を考える前に 大量生産、大量輸送、大量消費、大量廃棄・・・に安住してきた私達の生活スタイルを見直す必要がある

省エネ、節電を基礎に置かなければならないと思う  
そのうえでどういう発電方法、やエネルギーに私達は頼って行けばいいのか 
エネルギーの代替え案というものを議論する
原発の廃炉を如何してゆくのか 
原発が生み出した大量の放射性廃棄物どう処理し、管理し、処分してゆくのか 
これは当然コストを必要としている
核の後始末をコストの面でも保証してゆくことが大事 
戦後科学技術立国を目指したが(文明開化の延長戦上)  
富国強兵→経済大国 (軍隊の復活強化) 戦後の光と影というものを見定める必要があると思われる 

影の部分の行きついた処が福島第一原発事故であるように感じる
もし地球の生命環境を私達の子供や孫たちに引き渡したいのであれば、その道はただ一つ 小欲知足しかありません・・・科学者の小出さんが言っている
まさに仏教の言葉 
小欲・・・自分から自発的に欲を抑制してゆく 
他者、社会にも負担や犠牲を強いないで済むことになる  
自然環境とも相い和してゆく  そういう事に繋がってゆく
そして人間としての本当の満足が得られてゆくのではないのだろうか