2012年1月21日土曜日

和田武(日本環境学会会長70歳)  ・再生可能エネルギードイツの取り組み

和田武(元立命館大学教授、日本環境学会会長70歳) ・再生可能エネルギードイツの取り組み
20年前からドイツの市民たちが再生可能エネルギーによる発電に自ら取り組んでいる現場を
訪問調査してきました
日本でも市民共同発電所運動があり、自然エネルギー市民の会の代表も務めています
最初デンマークで風力発電をやっているのに注目  1970年代に石油ショックが有りました 
其の時にエネルギーの自給の問題が出てきた
地域に住んでいる住民が自主的に農業機械メーカーに頼んで風車を作って貰ってそれを使い始める
わけです (発電用の風車)

風車から出てきた電気を自分の家ではなく他にも使ってもらうと云う事で買い取り制度が出来上がった
今では電力供給の20%を賄う その風車の80%が農民所有 共同或は個人所有
デンマークでは1996年(京都議定書の1年前) 2030年までに50%減らすと云う事を決めた
デンマークに出掛けてゆきニールセンさんを訪問する 
彼らは地球温暖化問題を国民的に議論して大変な影響を与える可能性があるのだから 
その防止のための
国際的な義務をデンマークは果さなければいけないと、言う事で 高い目標を決めた
こんな高い目標を本当にやれますか?と質問→この目標はやれるかやれないかの目標ではなく 
やらなければいけない目標です とニールセンさんは答えた

今の段階でやれる条件が無ければそれをこれから作ってゆく 
そういう姿勢で取り組むべき問題だと思います 
ドイツとデンマーク国境も調査 最初市民がどう取り組んでいるか判らなかったが 
再生化エネルギーを市民が取り組んでいる そういう姿勢が重要だと思うが 
そういう例が無いかと質問したら 我々はそういう姿勢でずっとやっていると ホイクト次官から言われる
現場を見せましょうとあちこち連れて行ってくれた 具体的な住民参加の姿勢を見せてもらった 
 90%以上はその州では地域住民が参加してる

北海の埋立地では1950年代の終わりころ 人が減ってきて 村人が風車を作ろうと立ち上がる
 結果現在四万KW 村の電力使用量の500倍生産している
余剰分は電力会社が購入して他に供給している 売電収入で豊かになってきている
2000年に再生可能エネルギーの20年間購入できると云う法律ができた 
ドイツでは3割が100%独自供給できるような目標を掲げている  
色んな地域で持っている資源を生かす取り組みが各地でやられている
再生可能エネルギーでの発電量はドイツでは17%ぐらい  
2050年に80%以上 (福島原発事故以後に計画) という目標を掲げた 2020年までに原発廃止 
地球温暖化 現状2010年の 大気中の温室効果ガスの伸び率が過去最高 2.2ppm増える
 非常に高い伸びを示す 

この状況がずっと続くと21世紀末 2100年にどのくらい気温が上がるかいうと 4℃前後  
産業革命から今までに上がったのは0.7℃ 
20世紀の100年間で0.6℃あがったが、それでも色んな事が起こっている 
氷河が融解したり 海の珊瑚が白化したり(死んでいったり) 海面が上昇
沙漠化 色んな変化がおきているが 0.6℃で起こっている現象  4℃上昇になると大変な事態が
予測されている
不可逆的インパクト と言いまして 地球も気温もある程度のところまでだったら それを回復させよう
とする力が働くんですけれども ある一定の気温上昇まで行きますと
回復不可能な変化が起こる 云う事が予想されています
 
もうすでにちょっとその傾向が出てきているのは シベリアの凍土地帯 ツンドラ地帯 の凍った地面が
ありますがそこには生物の死骸とか 木の倒れたものとか が腐らないまんま残っていたわけですね 
処が最近気温が上昇したので 地温が上がり始めている
凍土地帯の融解が起こります 解ける深さが以前の2倍以上になっています 
解ける期間も長くなっています そうすると生物とか木が腐り始める
腐るとそれがCO2になったり 酸素の無いところではメタンガスになったりして でてきます 
最近メタンガスの濃度が急激に上昇しています

メタンガスはCO2の20倍の温室効果が有りますので 温暖化がさらに加速されますともっと深く
解け始める 悪循環です →不可逆的インパクトとという
海洋の酸性化が起こると云われている 海水に有る程度CO2が溶けているわけですけれども 
大気中のCO2が増えてくると海水の解ける量が増えます
水にCO2が増えると炭酸水になる つまり酸になる 
海の水というものは元々アルカリ性でPH8.3ぐらいだった (産業革命時代)それが0.1下がって
PH8.2ぐらいになっている
酸性かの方向に変化している それがどんどん下がってPH8.0を切るぐらいになると海の中の
動物性プランクトンとかこういう動物の殻が溶けはじめます

そうするとそういうものが生きてゆけなくなります 食物連鎖で動物性プランクトンを食べている 
子魚が影響受けるとか それを食べている大きな魚も影響を受けるとか
生物全体が大きな混乱に陥る可能性が指摘されています  
ですから今の勢いでCO2が増えてゆきますと 21世紀の 半ばぐらいにですね 
こういう事も起こりうる
地球の人口はやがて90億人になると云われていますね 
その人達が食べて生きていかなくてはいけないわけですけれども 温暖化がすすむと食料にも影響を及ぼす
今でも異常気象で作物の出来が悪いと云う事があちこちで起こっています 
激しい気温上昇が起きると世界中で農作物ができにくくなると云う事になる
水不足も人口増加により非常に急激に増えてゆくだろうと云われている
 
人口が増えてもその食糧や水を十分に供給できなくなる そういう事態にもなり兼ねない
1998年に「日本の21世紀エネルギーシナリオ」という本を出版 最近修正して発表 温暖化による
気温上昇を産業革命から2℃以上あげるというのはさっきのような
危険性を増しますのでそれはどうしても止めなければいけない 
その事に付いては国際的には合意されています でもそれを実現するための条件については
合意されていません それぞれの国がどの程度削減するかは決まっていません 
やり遂げなければいけない目標です
省エネを進めてエネルギー消費量を少なくすることも大事なんですけれども それと同時にCO2を
出さないエネルギーに替えなければいけない

日本は原発を其の手段としてそれを増やすと云う事をやってきたんですけれども 
日本のような地震国では極めて危険であると云う事がはっきりした
原発に依存すると云う事は止めなければいけない 大量の使用済核燃料の放射性物質というのは
強烈な放射線を出すので最終的には地下に永久保存を
すると云う計画なんですが 分離した放射性物質は30年から50年 強制冷却し続けながら
貯蔵しなければいけません
そうしないと永久貯蔵をいきなりできません 地下の永久保存するわけですけれども 
その処分地がまだ決まっていない それが無害化するまでには数万年掛る
再生化エネルギーを急速に増やす必要がある 

デンマークは風力 バイオマスが殆ど   
日本は地熱 太陽 水 風力 海洋等エネルギー源が一杯ある
全国で市民共同発電所が約300か所ある
制度的に充実してくれば 持ちだしでやっている現状が改善され、普及してゆくものと思われる
再生エネルギー利用は石油資源の争奪戦にはならない 
戦争は資源紛争が原因であることがままある