2012年1月12日木曜日

和波孝禧(バイオリニスト)       ・夫婦で歩むバッハへの道

 和波孝禧(バイオリニスト)         夫婦で歩むバッハへの道  
土屋美寧子(ピアニスト)
和波 1945年生まれ 生来の視力障害者 4歳でバイオリンを始める 
9歳の時、第6回全日本盲学生音楽コンクールで第1位特賞を受賞。
1958年、中学校1年生の時、第12回全日本学生音楽コンクール全国大会中学生の部で第1位を受賞
1962年、第31回日本音楽コンクールで第1位、特賞を受賞  
1963年日本フィル定期公演ソリストとしてデビューしました
オーケストラとの共演 リサイタル等半世紀に渡る演奏活動は 国際的に高く評価されて2005年には紫綬褒章を受章している

土屋 1972年 東京芸大音楽学部を卒業 1971年にはクロイツアー賞受賞 
定期的に開いているリサイタルは毎回テーマを設けて企画と演奏の面で高い評価を得ている  和波さんは1991年から毎年年末にクリスマスバッハシリーズのリサイタルを開催 無伴奏作品を演奏してきました 去年は20回目を迎え全6曲を生演奏するという  
初めての試みに挑戦しました 
ソナタ3曲(宗教的な面がある) マルティータ3曲(舞曲風) 6曲で3時間以上かかる  
この種の音楽は娯楽ではないので慣れてないと少し難しい
バッハの音楽だから演奏者にも力を与えてくれる 子供の頃からバッハの曲に親しんでいた
バッハの生誕200年の時に40歳だった 
まさか20年やるとは思わなかった  5回目からはプレッシャーを感じるようになった 
新しい何かを吹き込まなくてはいけないのではないかと 思った 
 
人からアドバイスして貰う  2000年にバロックバイオリンに出会う
 17世紀の楽器だ練習を始める 音が小さいが楽しかった   
やっぱり熟練度が違うので普通のバイオリンに戻った
全て点字の楽譜を使用してやって来た 
小学校に入る時には楽譜はすらすら読めたし文字も理解出来てこれが強みになった
最初は母から楽譜を点字にしてもらった 
昭和63年に母が手を怪我して点がちゃんと出無くなって ボランティアの人達にやって貰うようになる( PCで出来るようになる) 
無伴奏のCDは世界にいくらでもあったが 又音が違うとの話もあり 妻に協力してもらい(耳がいい)CDを出すことになる

三重県の文化センターを無償で提供してくれる事になり録音することができた 
(震災で計画停電も予定されたりする中でCD製作の話が有り東京での仕事が難しかった)
編集(ミスが有った場合に対応する) 
CDの良さは自分が好きな時、好きな場所で聞くことができるのでいいのでは
CD録音は凄く勉強になる それによって自分が改革出来ると云う 喜びはある  
バッハは1685年生まれ 1750年没 活躍したのは18世紀前半 
以前は戦うような感じでバッハと向かい合っていたが今は仲よく慣れたかなという感じです 
力を抜いて特にバロックバイオリンのような無重力のような楽器を使って弾く事、を通してバッハと仲良くできるようになった  
バッハの音楽には語りかけが多い 最初伝えるために音楽は生まれてきた 
言葉に替わるものとして音楽は生まれた 

バッハの音楽を通して自分の心を語ると云う点では尽きるところが無い 
バッハの音楽の根底に有るのは 罪へのゆるし を乞う心 謙虚さ   
知らないで犯している罪が一番問題 
(知らない間に人の心を傷つけたり そういう事っていろいろ有ると思うんですね 
日常的に有るかもし知れない) 
それに対して心をまっさらにしてゆるしを乞う だから自分も人の為にやらなければいけない という気持ちになって演奏する そういうメッセージが一杯 色んなバッハの音楽の中に入っているそれはきっとバッハがそんな人間だからだと思うんです
宗教くさいと云うんじゃなくて もっと人間の根源的なものをまっすぐにしてくれるような 或は洗い流してくれるような そういう種類の音楽だから、私は今の日本でこういう音楽は絶対必要だし沢山の方に届けたいなあと思います 特にこんな時だから(大震災後)