2012年6月13日水曜日

三木卓(詩人、作家77歳)     ・我が人生の出合いと別れ 2



三木卓(詩人、作家77歳)   我が人生の出合いと別れ
アーノルド・ローベルの作品 翻訳 40年になる  小さい子供向けだけでなく広い層に読まれる  
文章自体は短い 
今学校の先生が子供のころ読んだとか言われることがある  児童文学とは大事だと思う
小説 「震える舌」 映画にもなる  娘が破傷風になる(実際に有ったこと) 
 爪を噛み指をかむ癖がある そこから感染してしまったらしい
映画を実際に見て 映画は実際に派手になる  映像は強いですからね  
子供の頃から良く病気になっているので病気に対しては過敏に成っている

父親の仕事の関係で大連に行った 大連でじゃんじゃん病気をしたんですよ  
腸チフス 4歳でポリオ (左足にまひが残る) 当時満州ではポリオがはやっていた
両足ともに麻痺して全然歩けなかった リハビリをやってようやく歩くことはできた  
体操の時間が辛かった その後ジフテリア 中耳炎 敗血症 はしか
敗血症は凄かった 高熱で意識を失いましてね 母親の血を輸血して貰って助かったのですが 体中の皮膚が剥けたんです(熱の為に上の皮膚が死んでしまった) 
意識がほとんどなかった 小学校に入る前だった    
日本が戦争に負けて 其の時にしんきょうに居たが、其の時に父親が死んでしまう
母親と兄と祖父母で帰ってくる予定でしたが、今は全員いなくなってしまいました  
厳しい処を脱出してくる

夕焼け色の風景 木のざわめき 目に浮かぶような世界がある 
小説を読んでいると書いていると当人は判らないのでその様に読んでもらえると嬉しい 
心筋梗塞で大変な手術をする 1994年1月 58歳の時に渋谷で起こってしまった  
身体が曲がってしまう 心臓あたりが押されて 重苦しく物凄い力がかかってしまい
動けない感じ ただ事ではない 救急車は入ってこられない タクシー乗り場に行ってタクシーに乗って一番大きな病院を指定 病院の当直の医師が循環器系の医師であった  
直ぐに調べて皆を呼び寄せて 心臓を開けて詰まっている処を直してくれた 
こんな晩は無かった
 
いろいろな判断がすべて旨く行った状況だった  心筋梗塞は急に起こる  手術は意識がある状態だった 中途で意識が無くなり蘇生処置をしてもらい意識回復した
冠動脈3本有るが3本共に駄目だった  
自分の静脈を使って動脈手術もする(拒絶反応が無いので) 今は心臓を止めて手術をする 当時は心臓を止めないで手術するが、手術自体が難しい  
生きられるかどうか判らない中、自身を納得させていた
 
小説にも詳しく書かれているが 人間の幸せとは 不幸は 人間が生きている意味とは  急にシャッターが急に降りてダーンと落ちて明日があると思ったら  目の前に起きた  
そうすると生きていることに対する考え方が相当替わってくる 
後一年余計に生きることがそんなに意味があるのかとか  
5年生きることが意味があるのかとか そんなことが思いだします
入院生活 自分が裸になってさらされることなんです   
日赤に行った時に すっぽんぽんになり 俺はいったい誰なんだと 思う

病院は閉鎖社会  無事に生還した其れが3月 お彼岸が来る おはぎを食べるが、これがお供えるのとは大違いな事
手術をしたのは自分の静脈なので動脈よりも弱い 
5年持つかどうか判らず、仕事を早くこなさなくてはいけないと思った
少しでも時間があれば人間とはあさましいもので一生懸命作品を書いた 
中国から引き揚げてきた時からの自分の自伝を2本書いた
昭和20年代の事を子供の目で見たらどうなっていたのかを書いておきたい 
高校卒業までを書きたいと思った

静岡での暮らし  余りに水道の水が綺麗なのには驚いた
(引き上げて来てから  日本の水は素晴らしい)  感動を書いておきたかった
親等を厳しく見る目が有った  ソ連から追いかけられて大変だった 42歳で父は亡くなった  無名であったが父は詩人だった 草野心平さんの仲間だった
詩を書いて生活は出来ないので友達に呼ばれて大連に行った  
あの頃の日本人は良いものを食べることができなかった
父親が宮澤賢治が好きで話してくれた

5年が限界かと思っていたら18年になってしまった  
しかしもう冬になると具合が悪く 糖尿になってしまっておりその治療をしている
今は本を読む時間と音楽を聞く時間が多い 書く時間は3時間ぐらいが多い方で 1時間30分ぐらいやると今は良くやったなあと思う
今書かなくてはいけないテーマは→今は余りない これから生きて行く時間の中で生れてくるもの 生成してくることとかそういうものに対して自分が何かをつむぎだすか
という事になるかと思います   
だから鍾乳洞でポタンポタンとおちて来るのを待っているという 其れが一番いい作品になるのかと思います
一杯になるまで生きていれば又何か書けると思います
小説『馭者の秋』平林たい子文学賞 小説『小噺集』芸術選奨文部大臣賞 小説『路地』で谷崎潤一郎賞 小説『裸足と貝殻』で読売文学賞
『北原白秋』で毎日芸術賞、藤村記念歴程賞、蓮如賞