2013年4月5日金曜日

大野順二            ・リニューアルホールで心機一転

大野順二(東京交響楽団 樂団長)   ・リニューアルホールで心機一転
2011年3月11日の東日本大震災の当日、神奈川県川崎市にあるミューザ川崎シンフォニーホールのつり天井が崩落して、けが人はいなかったものの、フランチャイズオーケストラである東京交響楽団は演奏会場と練習場を失うという苦しい体験をしました 修復工事がようやく終わって2年ぶりに演奏ができるようになりました

4月から再オープンとなった  つりさげ天井の反響板にも相当する部分が、大部分が崩落、客席ステージ上に崩落して、客席も7割程度が壊れた
響きが素晴らしい 元通りの戻った  生のオーケストラを聴く場合に2000席が限度
このホールの特徴は1階席とステージと同じ大きさ すり鉢状になっている
響きが後ろに座った場合に、後ろの音しか聞こえないということのないように音響設計になっている 偏った響きはない
市長が音楽の街として推奨してくれており、ここを使用さしていただいている
フランチャイズ 拠点として使用している  リハーサルと本番まで一貫して音作りができる 

100日程度ここでリハーザルしている  本番としては20回~25回
欧米ですと、リハーサルと本番が当然であるが、日本ではなかなかできない状況にある
3月11日に地震があり、まさかホールがこういう状況にあるとは思わなかった
別のところでの演奏会があり、演奏会をどうするか考えていたが、情報があり、ホールに駆けつけたが、もやっている状況であり、天井が崩落しているのを目にした(まさかと思った)
交通機関が動いていなかったので演奏会は中止にした
これからどうするかを、演奏会は約2年前から決まっているので、いつまで中止にするんだろうかとかいろいろ解らない状況であった

とにかくやれることからやってゆくしかないと漠然と思った
6から7公演はとにかく中止、自粛ムードがあったので開催していいものかどうかも考えた
海外からの指揮者も来られず、演目を替えて、指揮者も変えて演奏会を行った
(演奏のキャンセルが多かった どう対応するか不安だった)
お客さんに聞いていただいて演奏家なので 今後どうなっていくかが不安だった
余震があったらどうしようかと思いながら演奏会を行った
演奏続けなければいけないと、お客さんの反応に感動した(一生忘れないと思った)
小林研一朗さんに指揮を依頼した 被害にあわれた方、亡くなられた方、行方不明の方に
追悼の意味を込めて、レクイエムを演奏させていただいた 

ベートーベンの三番エロイカも演奏した(皆さんを勇気つけるためにもこの曲にした)
樂団長として   事務局が一番大変だったと思う  
キャンセルの処理 ほか一からやり直さなくてはいけなかったので チケット担当は大変だった
オーケストラの入る場所をとにかく探すのも大変
500~600人ぐらいのところで演奏するしかなかった(本来は2000人ぐらいの場所)
その来てくださったお客さんに対しては感謝したい(待ち望んでいるお客さん)
釜石に演奏会を開催して大きな感動を得た

ホールの修復に対しては原因究明をしなければならず、1年間はそのままだった
2年目から工事が始まる 音響の部分がどうなるか不安だった
音響品質委員会があって、皆さんで会議をして 東京交響楽団が最後にOKを出して承認とするということになったので責任を感じた  
とにかく同じ材質(椅子とかも含めて)で工事してほしいと依頼した
12月に演奏(ベートーベン第九)して音響効果の確認を行った 元の音響に戻ったので感動した
この2年間ひとりひとりがいろんなことを思ったと思う 
東京交響楽団の熱い演奏を是非聞いていただきたい