2013年6月17日月曜日

遠藤功(早稲田大学ビジネススクール教授) ・パソコン社会を見直そう

遠藤功(早稲田大学ビジネススクール教授)   パソコン社会を見直そう
パソコンは今や車と同じように、私たちの生活になくてはならないものです
しかしパソコンを上手く使うのではなく、パソコンに使われてしまっているとの反省の声が、上がっています
早稲田大学ビジネススクール教授の遠藤さんは、このままではパソコンに頼りすぎ、人と人との思考回路が止まってしまう恐れがある、一度パソコンから離れて、アナログの世界をさまよったらどうかと、IT断食という言葉を提唱しています
ITは道具だという遠藤教授にお話を聞きます

IT中毒 IT情報技術 と言われているが、ITの便利さに、あまりにも人間が毒されてしまって、中毒症状を起こしているのではないかと、いう風に見られる事象が社会のいろんなところで、感じる
ICT(information communication technology)ともいわれるようになった 
情報通信技術非常に便利ではあるが、社会に大きな影響を与えている 負の部分が相当大きくなっている
負の部分に目を向けてもっともっと賢く、IT、ICTを使っていく必要がある
企業、通勤、 ほとんど新聞紙を読んでいる人はいなくて、特に若い人はスマートホン、見ている
多くの方はゲームをやっている ITに時間を奪われてしまっているのではないか
本当にかしこく使って、仕事の質、チームワーク、 が良くなったり、良い商品が生まれたりするのに、活かされているかと言うと、実はそうではないケースがたくさんある

みんな机に座って、オフィスはシーンとしている  インターネットの検索、メール、資料製作をしている事に忙殺されている 
コミュニケーションの向上、みんなで突っ込んだ会議、みんなで知恵を出して新しいものを作ろうとするよりも、一人ひとりがパソコンに向かって、パソコンの中で閉じてしまって、仕事をしてしまっている事がおおくの会社で見られる     
上手に使いこなせていない状況
ITを過剰に摂取してしまい、ITメタボになってしまって、中毒症状になってしまっている
見直さなくてはいけない時期に来ている
1940年代に最初のコンピューターが出てきて、パソコンの普及が1970年代 2000年にインターネットが登場  ITからICTに変わってきた

10年ちょっとしかたっていない 技術が進歩して ICTの恩恵を受けるようになった
情報処理 一人1台パソコンになって、便利になってよりパワフルになった
どう賢く使うのかと言うのに、人間が追い付いていない マイナスの方が色濃く出てしまっている
IT断食 ITを断つ  離れる時間を意図的に作らない事には、健全なアナログ時間が奪われてしまっている
基本的に人間はアナログな存在なわけです  喜怒哀楽 理不尽がある
アナログにしかできないことを、もう一回見直す必要がある
デジタルはアナログの代替えにはならない 
学生に調べろというと、インターネットで検索する  調べることと、検索は違う
実際に会社に訪問して、むこうの人に直接会って、話を聞いたり、インターネットにはない今起きていることを聞いたり、将来の事とかを聞いてくることが私にとって、調べる事ですが、学生は検索がイコール調べること

初期情報は便利ですぐ手に入る それをベースとしての情報として、 それを受けた上で、自分の足を使って、現地に赴いて、ひとにあって、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分で感じるという事がじつは根幹の重要な事だと思う
それがあくまでも主であって、パソコン、インターネットは従に過ぎない
今は主と従が、入れ替わってしまっている怖さがあると思う
質が劣化している 検索すると或る意味でみんな同じ情報に行きついてしまう
そうするとそこから出てくる考えは同質的なものになってしまいがち
自分で取材をして、自分で話を聞けば、そこで感じること、聞いたことは自分なりの解釈をして、考えて、自分なりの意見を持つことができる 個性を生かすことにつながるが、デジタルの世界と言うのは非常に便利なようで、同質化する傾向にある

リアリズムを大切にしないといけないと思う
間接情報、二次情報に依存していて、さも判ったような気になるんだけれども、本当に判ったのか、と言う怖さがある  現実の世界を見る、直接経験する 直接経験に勝るものは無い
手間暇、時間はかかるかもしれないがリアリズムを経験する、そうすると或る意味で仕事の質を担保する
情報と言うものと、事実は違いう訳ですね  情報は間違いがあるかもしれないし、過去は正しかったかもしれないが、今は違うかも知れない  インターネットの情報はすべて事実ではない
事実は自分の目で確かめて、自分の耳で聞いて、目の前で起きていることをちゃんと把握する
という、事実と言うものをベースとして話をしてゆくとう事が、歪んできてしまうおそれがある
そういったことが質への影響が否めない事実でしょうね

企業 みんなインターネットで情報を集めて、非常に綺麗なプレゼンテーション用資料、報告書を作ったり、すごく便利になった 
正直中味を見ると、表面的でうわっついた資料 見た目には非常に綺麗  
資料の作成に膨大な時間をかける 
中身よりも、見てくれの方を、修正加工ができるので、さももっともらしくお化粧ができる
お化粧に時間をかけて、さも仕事をしたような気になってしまう これが企業にとって見ては問題

いろんな壁にぶち当ったり、失敗をして、それをみんなで協力しあいながら、知恵を出して乗り越えてゆく、まさにアナログ  そういう事によって企業の競争力が高まってゆく
大手食品メーカーがIT断食を全社的に取り組もうとやっている
極端なIT依存が進んでITが主役に置き換わってしまった  コミュニケーションの基本は人と人が直接 交わす フェース ツー フェース である事はどんなに進化しようと変わらない
 
1週間の中でITから離れる時間を作りなさい と言う事を進めている
3時間、パソコンを閉じる  
ITでは出来ないことをその時間を費やしなさい と言っている
若い世代 20代  アナログとは何かを判らない  
若い人には体験することによって認識させる
IT関連会社 研修を担当する 20人対象   何故業績が悪いか、最初の場面で判った
常にパソコンをあけて、聞いている  
他社事例の話をするとすぐにその会社の検索を始める
先ずは私の話に専念してもらって、聞いて理解してもらい、考えてもらいたいわけですが、彼らはパソコンを叩いている  
パソコンを閉じてくれといった  彼らにとって、不満だった
みんなで違う意見を戦わせて、議論を深めてゆく、違う考え方があるんだという事を体験することによって人間の器が広がってゆくものと思う

パソコンは便利かもしれないけれど、パソコンというものとは違うところで、自分を鍛える事が出来なくなってしまっているのだと思う  パソコンに使われてしまっている
機械は文明の利器ではあるが、決して人間がいなくて全てをコントロールできるわけではない
ITを使いこなす知恵がまだ足りないのが今の状況だと思う
文明の利器はプラスもあればマイナスもある  
自動車の場合は時間をかけながら、進んできているが、ITの場合は折り合いが付いていない時期だと思う

経営者自身が認識する必要があると思う
ITの断食を一番最初に始めたのは、アメリカのある大手の半導体の会社だった
ITの怖さを一番よく知っている 使い方を間違えると人間の良さが失われてゆくことを、彼ら自身が一番わかっていて、或る一週間の時間をパソコンを閉じましょう、みんなで話しましょうと始めた
使いこなす為の知恵をいかに提供してゆくか、講習、研修があってもいいのかもしれない
住宅会社は植林して取り組みをしているが、ITなんかも、そういうようなやり方があるのかもしれない
一人一台、インターネットの普及 この二つによって、急速に変化した
便利になると手抜きになる  めんどくさいから手を抜く これが大半
めんどくさい 事に直面した時に、人間の行動が試されると思うんですよ めんどくさいからやらないが大半  
めんどくさいからやるんだと、いう風なことによって、初めて周りの人とは変わっていけるんで、めんどくさいことは非常に重要な分岐点ですね
昔はめんどくさいことが当たり前、今はめんどくさい事を避けるようになった
めんどくさいことに挑戦することが、かっこいいし、他の人とはたぶん違う価値を見出すことにつながってくると思います
ドロドロになって頑張るとか、一心不乱になって頑張るとか、最前線に行って自分で情報を取ってくるとか、一見かっこ悪いと思われていること、そういう事に価値があると思う

アナログ的なものが、今後ますます価値が高まってくると思います
現場は全てアナログ インターネットにないことを教えてくれる  
わざわざ行くことに価値がある
1万の情報よりもたった一つの事実の方が価値があると思う
自分の得た事実に依って考えることが大事   受け売りは情報ではあって、事実ではない
アナログが主 アナログすなわち人間 人間が主になってデジタルは補完的なもの、道具