2013年10月25日金曜日

大蔵 暢(老年医学専門医)    ・新進気鋭の老年科医、幸せな老後を語る

大蔵 暢(とおる)(老年医学専門医)    新進気鋭の老年科医、幸せな老後を語る 
日本人の高齢化は、今、世界の最先端を走っています
日本では今高齢化率、65歳以上の人口が総人口に占める割合が21%を越えて、世界に先駆けて超高齢化社会に突入しました
大倉さんは現在40歳、富山大学医学部を卒業した後、聖路加国際病院で日野原先生について老年医学を学びました
その後アメリカに留学し、ミシガン大学の老年医学センターでは最先端の高齢医療制度を学びました
大倉さんによると、老年医学の基本的な考え方は、老いに依る虚弱体質や生活習慣病とどう付き合い、どうより良く生きるかだと話しています

普段は主に世田谷区用賀に在る老人ホームで訪問診療をしています
介護付き有料老人ホームでは短い時間で対応できるようになっている
老年医学への関心  1990年代後半は臓器中心の医療から病気中心の医療から、全体を見ようと云う流れが出てきた(総合医療)
それでも高齢者は上手に見れないので、たまたま留学して、高齢者医療を学ぶ機会を得て、老年医学を志ました 

老年症候群の診察室」の本   
①内臓のいろんな機能が落ちて弱弱しくなる、「虚弱性」 いろんな病気が出てくる  
②いろんな病気が出てくる   それらがからみついて「複雑性」がある
③患者一人一人が違って「多様性」がある
日野原先生のもとで学ぶ 当時90歳を超えていた
研修医を集めて、話をする 患者さんのところに行って診察するが、ドンドン元気になってゆく
日野原先生は、患者さんとの間の取り方、触り方、声のかけ方、声のトーンとかは非常に絶妙、ベットサイド力を学んだ 

アメリカに行って老年医学を学ぶ  
日本では総合的に見る医学の流れがあったが、アメリカは確立していた
医学の研究に於いては、政府がかなりのお金を投入して、研究を振興しているので、医学研究と言う意味では世界のトップですね
65歳以上は皆保険になっているので、一定以上の医療は受けられるようになっている
老年医学は日本ではまだ研究指向、アメリカでは高齢者をどう見るかと言うところをかなり重点を置いている
認知症、動脈硬化をもっているひとを、どういうふうに診療するかに焦点が充てられている

人間の老化 
①虚弱化   日々老いてゆく  全ての臓器、筋力等の低下  薬(副作用)、お酒残ってゆく
  処理能力が落ちてくるのが要因  
②老年症候群  めまい、転倒  若い人は原因が1つか2つ  
 高齢者のめまいは脳の血流が落ちてしまう、耳の原因、心の問題、目、聴力が落ちる、関節 がぎくしゃくしたりいろんな多くの原因が重なって、めまい症状が出てくる
 薬をもらってもなかなか良くならない、完治は難しい、受け入れてゆく

めまいは若い人は耳か、頭か、心か 3つが原因になっている
高齢者は全体が関与していることが多いので、全身をくまなく見ないといけない
認知症の介護でめまいが出てきたとかもある(家庭、社会との関連もある)
治癒か癒しを目指すのか?  状況に応じて、治癒できるか、臨機応変に対応する
老年の乳がん患者 抗がん剤を投与しないで、美味しいものを食べたり安らかにと言う事で楽しく生活している
むしろそのほうが残された時間が長くなるというデータも出ている

チームアプローチ 高齢者を観るのには医者だけではだめで、より長く生きるのは勿論だが、より良く、質を良くしないといけない
医療以外のサポートが必要 看護師、介護師、ケアーマネージャー、リハリビ、 チームを組んで取り組む必要がある
生活の場にいる高齢者  今の自分に対して「不満」を持っている 
身体の具合が悪くなったりすると、出来た事ができない、楽しくない、お金は入らない等々
将来に「不安」 、死が近づいてくることに対してのいろいろな不安
私の両親は心の準備 お金の準備を進めていて面白いと思った
一人暮らしになった場合?  
最後まで一人で生活するのは難しくなってきている、最後の5年ぐらいはサポートが必要
介護保険だけでは難しい
家族の負担が高まるので、アメリカでは施設が出来てきているので、シフトしてきている

私がホーム診療をしているところは、高級な部類に入っていて人的資源も多い、恵まれた環境に在るが、チームアプローチがまだバラバラなところがある
アメリカは医療、介護が高い  日本では自己負担が少なくなっている
老人介護、医療はそれなりのお金が必要なので、日本人はもっと考える必要がある
地域、医療を受ける病院の2つしかない
アメリカはリハリビが充実している  入院、治療→リハリビ→自宅に帰る
日本のリハリビは若い人に対してが主で、虚弱高齢者に対しては、能力、機能的に低いと思う
保険診療ができないという面があり、行政がどうしてゆくのかという処の理解が必要

社会がそういった考え方にならないといけない
「老年症候群の診察室」はソフト面 ミクロ的で、医者、看護師、ケアースタッフ、ケアーマネージャーが高齢者のベッドサイドでどうやったらいいのか、施設の中でどうして行ったらいいかを総合的に書いたもので、実はそれだけではだめで、システムと言うものがあって、アメリカで見てきたものを、どういう風に持ち込んだらいいか、ハード面、マクロ的なものを近い将来、日本の高齢者医療のレベルを上げると云うのには、ミクロ面、マクロ面でやっていかなければならない
生活の質を上げる、生活の場に医療を持ちこんで、医療を携帯しながらここで生活をしてもらうと云うような実験をしている

①高齢者が社会の大半を占めるようになると、若さ以外の価値を見出してもらいたい
定年してからではなく、早め早めから30代、40代の頃から、50代、60代、70代の事を考えていただきたい
②情報が氾濫しているので、その中から如何に取捨選択をしていくかが、重要で、そのためには医療アドバイザー、医療者のだれか 身近で何でも聞ける、理想的にはホームドクター、近くに信頼できる医療者を一人探して、なんでも相談できる人を身近にいてくれる事