2014年6月2日月曜日

小嶋光信(両備グループ代表)   ・赤字ローカル線を再生する請負人の思い

小嶋光信(両備グループ代表)  赤字ローカル線を再生する請負人の思い
地方ではマイカーの普及に伴って、電車やバスなどの公共交通機関を利用する人が減少し、鉄道やバスの会社の経営はドンドン苦しくなっております。
2001年に始まった規制緩和で、赤字路線はさらに増え、地方の公共交通はぎりぎりの経営を強いられているところが多くなっています。
そんな赤字路線の再生、経営の立て直しを数多く手掛けているのが、岡山県に本拠を持つ両備グループの代表小嶋さんです。
線路や電車、道路は公共機関が持ち、営業やサービスは民間が行うと言う公設民営をモットーにする一方、かわいい三毛猫を駅長にするユニークなアイディアなどで、日本各地の赤字ローカル路線、バス路線、採算が取れない船の路線の経営を立て直してきました。
車の運転のできない弱い立場の人々の幸せを願って、自分は無報酬で再生に当たると言う、活力の原点はどこに在るのか、公共交通機関のあるべき姿はどんなものか、伺いました。

10年前 和歌山電鉄の貴志川線 三毛猫の駅長が有名。
以前は南海電鉄岸川線 14kmの鉄道 2004年3億の収入で5億の赤字を出して、廃止を発表になり、俄かに「貴志川線の未来を作る会」が出来て、6000人の方が1000円ずつ金を集めて、乗って残そう貴志川線という運動を始めた。
相談に来られた。
乗って、又歩いたりして調査した。
駄目もとで、再生をして行った。(公設民営案) 運行だけ分ける。
日本は公共交通のガラパゴス。
昔マイカーのない時代は、公共交通はめちゃめちゃに儲かった。
100のうちの50はマイカーに行ってしまった。
以前は売上100、経常経費90、経常利益10 売上50 経常経費90 経常利益マイナス40
どうやっても黒字にならない、補助金で支えてもらうと言う事でどうにか延命をしていた。

ヨーロッパ社会は賢明で、アメリカから自動車社会が入ってきた時に、車を運転してない人達の移動をどうするの、と言う事で、彼等は考えた。
公設民営 運行だけは民間がやると言う形で、交通弱者に対する対策をしっかり残した。
日本では規制緩和になって、競争して駄目ならもうやめたらいいんじゃないと、地方は雪崩をうっていった。
世界の先進国では最も先行きを考えなかった、逆行してしまった。
和歌山電鉄の和歌山駅に降りた時に、猫の額みたいなホームで、男性1人、女性2人が掃除をしていた、助役と思しき人がほかの人とでしゃべっていた。(可なりの浪費があると思った)
500m離れてところで話したら、(鉄道が)まだあったの、と言われた。
沿線が豊かな農村で有ったために、全く開発されていない、いいところ。
大和朝廷ができるころに、主戦場になったところ。
ここは忘れ去られた鉄道として、営業努力、企業努力の余地が残っていると、覆面調査で判った。
公設民営と言うやり方でやれば、再生はできるという診断をした。

三毛猫駅長 2006年4月1日に出発式をやって、その帰りに、売店のおばちゃんが、三毛猫のたまちゃんが家なくなっちゃったので何とかして、と言われた。
公共の駅に私物の猫を入れるのは、どうも問題があると思った。
三毛猫は男だったら300万円はする、女だから100万円とおばちゃんから言われた。
血統書付きで家には11万円、なんで三毛猫が100万円かと、玉ちゃんに対面したら、素晴らしい目力だと思った、見た瞬間にこの子は駅長かもしれないと思った、
再生駅にするために無人駅にしたが、玉ちゃんを駅長にすれば、と思った。
制帽を作った。(制服はつくるのを断れる)
和歌山電鉄の貴志川線 貴志の駅長ですよと、広報した。
1月5日 駅長就任式 知事、両市長が来て、マスコミが黒山の人盛りとなる。

玉ちゃん駅長の主たる業務は客招き 招き猫ですと言った。 
皆が爆笑、之を全国放送する事になり、大人気になる。
5%ずつ減っていたものが、15% 昇り調子になった。
駅員もがんばり、行政も応援してくださって、玉駅長の経済効果は11億円あると、判断される。
玉ちゃんは1年で課長になる、社員8500人で玉ちゃんだけ、出世頭。
世界にも報道されるようになり、香港のお客さんだけで2万6000人くる。
アジア、アメリカ、ヨーロッパ等から来てくださる。
ヨーロッパでは映画になった。
社長代理のウルトラ駅長 14駅の総駅長に任命されている。
綺麗な駅長室を作った。 再生のシンボルになった。

無報酬でやっている。
規制緩和は大都市では正しかったが、地方にとってはミスリードになった。
法律を変えないといけない。 
公設民営 中部国際空港の会場アクセスの時に、相談を生けて、純粋な公設民営をつくったら、大成功した。
和歌山電鉄の時に、法的に認められるようになった。
交通政策基本法  岡山県の路線バス 岡山の半分をやっていたが、倒れることになり、緊急に
交通政策基本法 昨年12月に法制化された。
制度改革する為には汗をかかなければいけなかった。 
ある程度の補助をして行かないと公設民営の形のベースができないと気に、禄をはむと言う事は
とんでもないことであって、そうでないと鏡が曇ると思って、そうしてきた。

私の仕事は、どこに公共交通に病気があるのか、治せるか、治せないのか、どう行く形を取って行ったら治せるか、経営のスキームを作るまでが私の仕事です。
経営の執行は私どもに優秀な人がいるので彼らがきちっとやる。
三百数十年前の岡山藩重臣 津田永の業績を知ったことが、「汗を流す」と言う事のきっかけ。
元禄前後に池田光政綱政公 2君に仕えた忠臣。
禄高の低い身分に生まれたが、殿様に見出されて、最終的には岡山藩財政破たんの立て直しをして、後楽園、閑谷学校だとかの文化遺産、1900町歩の寄進田をはじめとする2500町歩の開発、豊かな岡山、教育県岡山を成し遂げた隠れたる侍。
全部殿様の手柄にして、自分が死んだ時、殿様を護るところに墓を作って、死んでも殿様を護った。
「治世とは民の苦しみを救う事にござる」と言って、個人で大阪商人から莫大なお金を借りて、1900町歩の開発をして、耕作で返済をする。(今の農業事業者ローンみたいなもの)
小作人は地主になって、それが岡山の元になった。
陽明学の知行合一 よいと思う事は必ず実行する。
自分でも何か役に立つ事はないかと、足ものを観たら、公共交通がガラガラと崩れている。
自分たちの事業だけ助かればいいと言うわけにはいかず、日本の地域の問題なんだと身をもって知って、誰かがやらないといけないと、処方箋を書いてあげないといけないと思って、再生を仕手、心ある政治家の皆さんと一緒に法律を作ってゆき、今回トンネルの出口が見えるようになった。

これから超高齢化社会を迎え、道路はあってもそこを運転する人がいなくなる。
公共交通は規制緩和をして潰してしまう様な形になったが、ほころびを治してスタート点に立ったと言うところです。
JR東日本の山田線が3年経っても一部復旧のめどが立たないでいるが、山田線を第三セクターに移管する話が持ち上がっているが、基本的には、人間にとっては肋骨みたいな路線、きちっと残さなくてはいけないと思うが、どこがきちっと設置をして守りぬくか、当然復興資金で国が直していかなければいけない。
オペレーションをどこがやるかは、一番効率的なことをすればいい。
大事なことは、日本全体の鉄道のネットワークとしてきちっと機能しなければいけない。
今日本はぶつぶつにしてしまおうとしている。
財政的にどうするかと言う問題とは別に、直さなければいけない。
暫定的に復旧を早くする、50年掛かって、間違いのない路線として復興すると言う、二段構えで行わなければならない。(3年間も時間が空転しているのはいかがなものか)
災害復興は別問題。

これまで地方の鉄道、路線バスは孤軍奮闘だった。
国、地方行政、市民、利用者が一体になって、どういう交通計画を作ってゆくか、財源は、どう残してゆくか法制化された。
本当にこれから必要な公共交通をやってゆくスタートラインに立ったので、是非もう一度勇気を奮い起してほしい。
皆半分諦めちゃっている。 資金繰りに苦しみ、いつまでたってもらちあかない。
望ましい地域公共交通を日本の中にどうネットワークを作るか、努力と知恵を発揮して、これからが出発点だと思っていただきたい。
必要なものは皆で使っていけば、アイディアが出る、使わない人たちが考えているケースが多い。
「知恵は汗に依って生まれる。」 自分が努力しているうちに、いろんな人がいろんなテーマを言っ「て下さる、それを丁寧に考えてゆくと、玉ちゃんはどこにでも生まれるケースはある。
汗と努力のなきところに、いいアイディアは絶対出てこない」