2014年8月8日金曜日

朝長万佐男(診療所長)    ・医師親子2代、被爆者に寄り添う(2)

朝長万佐男(診療所長)     医師親子2代、被爆者に寄り添う(2)
永い間被爆者と接していて、研究者は被爆の影響を世界に発信し、核兵器の廃絶の原動力になる役割りを負っている時を感じてきました。
アメリカと当時のソ連の医師が、核戦争防止国際医師会議を設立した時は、初めから参加して、国際理事も務め、会議の場で今も苦しむ被爆者の姿を医師として、被爆者として127カ国の代表に訴えてきました。
朝長さんは白血病の研究をしながら、恵の丘 長崎原爆ホームで40年間 週1回の診察を続けてきました。
今年からはホームの診療所長を務めています。

日本の社会は高齢化になっているが、被爆者も同様です。
69年前の影響を身体の方も心の方も引きずっているという問題がある。
400人入居者がいる。   身寄りのない人が多い。 一族郎党被爆して自分しかいないとか。
50周年の時に、精神科の先生と一緒に、長崎の被爆者の7000人の人の精神分析を行った。
近距離被爆者ほど、半世紀たった後も精神状態が良くないと言う事が判った。
PTSD 精神反応が出たり、はっきり統計に出て、英語の論文にして報告している。
心の傷はかなり根深いものがあって、どうやったら取ってあげるかという研究がされてなかった。
被爆者の心の病は、半世紀たってからの治療は不可能に近いという印象を持っている。
非人道性を科学的に証明しようとすると、心の問題よりも癌、白血病がいまだに出ると、云う風な医学的、科学的証拠を積み上げた方が、外国の人に判りやすいと言う事はある。
核兵器廃絶にかかわる人々に広めている段階です。

日本もすでに、占領時代には言論統制が行われて、原爆の人体影響がどうなのか、判らなかったが、研究は行われていた。
冷戦時代に入っていって、核の残虐性、非人道性をうんぬんする以前の問題として、米ソのデスマッチが始まってしまった。
最大の武器が核兵器だった。 核廃絶は夢の又夢になってしまった。
原子力の平和利用という事で、原子力発電所が増えていった。
非核兵器国は商業用原子力発電を持ってもいいという。  NPT条約1960年代に登場した。
核兵器は一時6万発になったが、このままでは人類はとんでもない絶滅の危機になるという考え方が、医者の間(米ソの医者)で高まってきた。 1980年代前半
IPPNW共同体が60万人の医者の組合ができた。
IPPNW共同体がゴルバチョフ、レーガン両国の首脳に訴えた。 
ゴルバチョフが今後核実験はしないと、声明を出した。
それによって核実験ができなくなった。
1983年ぐらいから私もIPPNW共同体に参加した。
核戦争防止国際医師会議 (IPPNW) 核廃絶運動のリーダーシップを取っている。
日本は広島の県医師会に本部があり 私は長崎県の会長  国際本部はボストンに在り、そこの副会長も私が務めている。  冷戦時を過ぎて、今は厳しい状況にある。

核戦争になると、都市が破壊され、放射能を帯びた塵が成層圏までまきあがって、太陽光線が遮断され、地球の温度が急速に落ちてきて、核の冬に突入して、食料生産が滞る。
人類は飢餓で倒れてゆく、人類の滅亡につながる。
最初は白血病とかの研究発表に行っていたが、段々核廃絶の運動にのめり込んでいった。
6万発から1万7000発までしぶしぶではあるが、減らしてきた。
ゼロにして行く段取りはまだまったく見えない。
アメリカ、ロシア、フランス、イギリス 中国  それインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮 9カ国が核保有国。
核廃絶の理論武装 核の非人道性を世界中で公認して、核兵器禁止の条約を作れるかどうか、と言うところまで来ている。
核の非人道性に関する国際会議 オスローで第一回があった。 今年はメキシコで有る。
国連とかいろんな場で、被爆体験を語ってきて原爆の悲惨さを訴えて、世界中に広まってきた。
それと私たちが癌、白血病のこととか、心の病の研究を発表して、正確に理解されるようになった。
オバマさんはプラハで、核兵器を唯一使った国で、道義的責任を感じていると、おっしゃった。
将来核兵器廃絶を実現させたいと、おっしゃているが、実際はアメリカの行動はそれに追いついていない。
国際会議には現在、核保有国は参加していない。 
核保有国を参加させようと言う方向、非核保有国が170カ国が集まって保有国も従えようと言う方向 その二つがいませめぎ合っている。
核抑止力 信仰している国が多い。

データを出してきた研究者自身が核廃絶運動をやることは、重要だと感じています。
非人道性国際会議に被爆者も7人呼ばれて、発表して感動をあたえて、そのあと私が研究発表して、という2本立てでやってきて、非常に効果はある。
「核廃絶ができますか? Yes I can。」 の「I can」運動がNGO団体などを取りまとめて行っている。
民間レベルで一致してノルウェー、スイス、オーストリア、メキシコとか核廃絶に積極的な国と共同歩調を取って、非人道性の世論を確立させようとしている。
核の傘 日本は核の傘に頼らなければいけない、というジレンマがある。
広島、長崎の合同国際フォーラムを10月に行う。 
被爆者、原子力発電所事故の被害者(日本、ロシア)なども招いて行う予定。

平和国家の役目としては、北東アジアから核を無くしていきましょう、アメリカに対して非核の新しい安全保障体制、方法を考えましょうと、訴えていきたい。
アインシュタインは 日本では湯川博士、朝永博士等と相談してパグウォッシュ会議(IPPNWと似たような会議)物理学者の核廃絶会議 を作った。  
いまも続いていて来年長崎で行われる予定。
核兵器廃絶しかない。  
原爆70周年記念の節目 オバマさんが一人のキーパーソン、日本政府がどうリーダーシップを取るか。