2014年8月21日木曜日

三上修(生物生態学者)    ・すずめの謎を追い続けて

三上修(生物生態学者・岩手医大講師)    すずめの謎を追い続けて
1974年生まれ 大学で生物学を学び、鳥の生態や行動について研究しています。
特に都市に住む鳥に興味を惹かれ、最近は雀の研究に取り組んでいます。
三上さんは、雀は身近な存在でありながら、意外にその正体が知られていない鳥で、その生態は多くの謎に包まれていると言います。
以前に比べて身の回りで見ることが少なくなったと言われる、雀ですが実際はどうなのか、雀の姿から私たちは何をくみ取れるのか、見過ごされてきた雀の謎を追い続けてきた三上さんに伺います。

雀は身近な鳥です。 
日本には600種類の鳥が確認されているが、雀ほど普段見掛ける鳥はいない。
雀は人に対して人に近いところにいると言う意味で他の鳥と比べて圧倒的におかしな鳥と言える。
人のそばにいる割に、人に対して警戒心が強い。
他の鳥にくらべて圧倒的に高密度で、狭い場所にいる。
シジュウカラは縄張りを持つが、雀は直ぐ近くに巣があっても気にしない。
卵、普通の鳥の卵は全部同じ色の卵を産むが、雀は最後に産んだ卵だけ、ちょっと色が違う。
其れを止め卵と言うが。
桜の花を食べるのが最近判ってきた。 蜜の部分をちぎって、吸って花を捨てると言う事が判ってきた。(ここ20~30年)
どこかの段階で雀が蜜を吸う事をして之をまねて広がったのではないかと思う。

雀は鳥の仲間ですが、さかのぼってゆくと恐竜に辿り着く。(鳥の先祖は恐竜であると言う事が主流)  鳥の先祖が生まれたのは数千万年前と言われる。
小鳥が増えていったのは数百万年~一千万年と言われる。
雀は20~25種類いる。  日本には我々が見る雀と、山の中にしかいない入内雀、2種類。
入内雀はちょっと赤っぽいのと動きが機敏。
寿命は判っていない。 籠の中では長いもので10年という記録がある。
おおざっぱな推測 平均寿命で言うと半年。  小さいころにほとんど亡くなってしまう。
雀は雑食系、昆虫、米、植物の種等を食べる。

古事記に雀の文字が出てくる。
儀式として鳥の姿をして、葬式をするという事があった様です。 ある役割として雀が出てくる。
枕草子、俳句などにも出てくる。
万葉集には雀は出てこない。(雀を食べていたのではないか、雀に遠慮があったのでは)
研究のきっかけは?
誰もやっていなかったので、又都市の鳥に興味があった。
数千年の間に都市が出来て、環境が変わってそこに鳥がやってきて、どんな鳥だったらその環境に住めるのかと言う事で、雀に興味があった。

雀が日本に何羽いるのかと言う事から始めた。  まだ誰もやっていなかった。
或る面積で雀の数を調べておいて、そういう環境には何羽ということで、日本にそういう環境はどのぐらいあるかと言う事で、行った。
鳥の数は諦めて、巣の数を調べた。  商業地域、住宅地、農村地帯 をそれぞれ調べて面積でかけて調べた。
結果巣の数は900万巣と成る。 オス、メスで1800万羽  
オーダーとしては数千万羽としていいのではと考えている。
感覚的にある場所で減っていると言う事は事実だと思うが、情報の偏りがあるのではないかと思った。
雀による農業被害を見ると、ドンドン減っている。
雀の狩猟データ 是もドンドン減っている。 
20~30年前 1時間で200~300羽取れたが、最近は1日やっても100羽も取れない。
環境省 鳥の分布を見ても雀は減っている。
いろんなデータを持ってくると雀は減っていることは確かなようだ。
20年前と比較すると、半分になっていると思われる。
ヨーロッパでは家雀が身近にいるが、地域によっては凄く減っている事が知られている。
地域によっては1/10と言われる。

減少の原因は?
建物が変わって瓦屋根が無くなって、雀が巣を作れなくなったのではと言う事で住宅地を調べた。
巣の密度を調べた。  1970年頃の住宅地は100m×100mで4つ巣があるが、2000年ごろの住宅地では1/4ぐらいしかない。
住宅が新しくなると巣を造る場所が無くなってしまう。
昔は空き地が沢山あったが、今はそういったところが駐車場になってしまっている。
餌を取る場所が亡くなってしまった。(空き地)
総合的に働いて、巣の近くにいい餌場があることが重要だが、その組み合わせが日本中からドンドン減っているのではないかと思う。

雀がお互いの巣にちょっかいを出す様になった。  
まだ卵を産んでいない雀が巣を奪うために卵を落としてしまう。  
雀同士でマイナスの効果をする。
街中では小さい昆虫を与えているので、そこも巧く言っていない原因なのでは。
卵の数も少なくなっている傾向にあるし、うまく孵化しないとか、ある。
昔のデータがないので、因果関係は判らないところもある。
巣立ち雛の調査をしたが、街中だと1~2羽 農地だと2~3羽 街中だと餌不足とか、猫にやられるとか有ると思われる。
絶滅までは行かなくて、どこかで減少は落ちつくのではないかと思う。
他の多くの鳥も減っていると思う。
数の大きな種が半分になると、その影響も半分発生する事になり、影響は大きいと思う。

数が減ってゆくと我々にとって身近な鳥ではなくなってしまうかもしれない。
よくよく調べると変わった鳥だと言う事が見えてきた。
雀の研究をして、本を書くと、色々反応があり、凄く愛されているんだなと言う事が、判った。
巣箱を家の庭にかけてやると、巣を作りやすい。
雀が増える事によって迷惑する人もいるので、(農家)難しいところもある。
雀が子育てをする時期は控えた方がいい。
栄養バランスが崩れたりして返って阻害することになる。(ヨーロッパでは起こったりしている)
雀の声には意味があるのではないかと思うので、其れを突き止められれば、もっと雀の事が判るのではないかと思う。