2014年9月23日火曜日

村田裕之(東北大学特任教授) ・支えたい、豊かな老後

村田裕之(東北大学特任教授)    支えたい、豊かな老後
総務省が敬老の日に合わせて発表した今年の9月15日現在の高齢者の人口推計によりますと、日本の65歳以上の高齢者人口は、3296万人で総人口に占める割合は 、25.9% 人口、割合ともに過去最高になりました。
4人に一人が65歳以上と言うこの時代、村田さんは団塊の世代、シニアビジネス、高齢者などをキーワードに、新しい事業の企画、立ち上げなどを行う一方、東北大学で特任教授を務めています。
村田さんは新潟県出身の52歳、東北大学大学院終了後、大手石油会社などいくつかの民間企業を経て、2002年に自分の会社を設立しました。
企業と大学の産学連携などを通じて、様々な提言を行っています。
村田さんがこうした事業にかかわる様になったいきさつや、豊かな老後のために何が必要か、等について伺いました。

昔、国連が定義  高齢化率=65歳以上の人口割る事の全人口 7%を越えると高齢化社会と言います。
14%を越えると高齢社会、21%を越えると超高齢社会という。
日本は25%を越えている。  世界一です。  今後も続くので世界も注目している。
政府がどういう政策を執っているのか、民間企業がどのような商品サービスを売っているのか、そこらへんに興味を持つ割合が増えている。
1950年ごろ、高齢者の定義が55歳だった。
お年寄りと言う時は社会的弱者 アクティブシニアは活動的でお金時間もあってみたいな感じ。
豊かな老後を迎える必要なキーワード、一番重要なのが生き甲斐(purpose of life)
生きる目的(purpose)を明確に持っている方は、豊かに暮らしている。
それが無いと、何のために私は生きているんだと、生きていてもしょうがないと。
私の90歳近い母がまさにそうで、脳梗塞で右の足が麻痺しています。(平和で無く色々ある)
生きていく事の意味、目的が明確に自覚している方は、生きいきとされている。

高齢社会にかかわりを持つ様になったいきさつは?
会社で、新規事業を企画して立ち上げる仕事をしていました。
マルチメディア、インターネットなどをやっていたが、1999年 介護保険が半年後に迫るころに、調べていたら、全部介護保険一色だった。 介護に必要な人は2割しかいなかった。
残りの8割は元気な人達、その人向けの商品サービスが、実は本命ではないかと考えた。
異業種の企業と企業連合を作って事業を立ち上げることを提案して、注目されてそこからがスタートです。
しかし、人数は多いが求めているものが違う、価値観も違うと言う事が判ってきて、アメリカに視察に行ったらいろんなことに気が付いた。
皆自分の国のことしか知らなくて、お互い何にも知らないという事に気が付いた。
もっとグローバルにやってゆくとビジネスチャンスにもなるし、勉強にもなるとおもった。(日本が一番高齢化が進んでいるから)
先駆けて解決すれば、世界にイニシアティブをとれる、と思った。

カレッジリンク型シニア住宅を今から10年前に提案した。
老人ホームと大学をリンクさせて、老人ホームに若い学生が来て一緒に勉強したり、入居者が大学に行って若い学生と一緒に勉強するとか、こういった物を事業化できないかと、神戸で行ったが、リーマンショックで全然売れなかった。(今は形を変えて残ってはいるが)
7,8年かかわったので、相当へこんだ。
新規事業は上手く行かないほうが多いが、思い入れがあったのでがっかりした。
昔は老人ホームは姥捨て山と言われていたが、そうではなくて若い学生達と一緒になって、勉強すれば生きる目的がはっきりして元気になる。
アメリカ 平均年齢83歳なのに要介護率が5%未満だった。(若い連中と一緒に学んでいるから)
日本に作ればと思ってやったが駄目だった。

海外のいろんな方が私のところに問い合わせをするようになった。
日本だけではないと実感した。
リーマンショックの後ぐらいから、シンガポール、韓国、いろんな国から来て、いってみると日本の介護保険はどうなのかとか、日本のビジネスはどういうものがあるのかと、興味があるのだと知った。
日本は先頭に今のうちに行くべきだと感じた。
いいことでも悪いことでも経験を積むことは、絶対に後で武器になるので、理屈ではないものがある。
人間、或る程度生活水準が似てくると、ある年齢になると、国、言葉の違いにかかわらず、求めるものは共通点が多い。
スマートエージング 川島 隆太先生と一緒にやっているが、 歳を重ねるごとに賢くなってゆきましょう、成長しましょう、歳をとってもいつまでも我々は努力すれば、成長を続けられるという意味が込められている。
世の中、高齢化にかかわる大変な問題があるが、より賢い解決策を考えていきましょうと、この二つの意味をかけています。

どうやったらスマートエージングを出来るか?
①身体が元気で無いと駄目なので、有酸素運動をしましょう。
 血圧下がる、中性脂肪が減る、コレステロールが減る。
②筋トレもやりましょう。 歩いているだけだと筋肉がつかないので、脚と体幹部を鍛える。
③脳のトレーニングをやりましょう。  大きな声で朗読する。 手で書く。 簡単な計算を素早く解く。
 自分史 自分の生きてきた歴史をキーボードではなく、手で書いた方がいい。
 手で書くという行為は見た目より、脳のいろんな場所を使うので活性化にはもってこい。
④年金以外の収入を得る為に、ちょっと仕事をする。  責任感が出る、気持ちに張りが出て、毎日 行くところがあると、生活にリズムが出来る。
⑤ボランティアでもいいので、誰かのために成ることをやりましょう。 誰かに「有難う」と言われるよう  なことをやる。
⑥小さくてもいいから具体的な目標を持つ。 いつまでに何を達成する。具体的に
 朝刊の論説を音読するとか。

自分があのとき失敗したのは、何か意味があるんだろうなと、後で意味付けをして、後で何年、何十年してから結びついてくる。
大手石油会社にはいったが、3年で辞めて、フランスの学校に自費留学した。(会社の費用で会社から行くようにとの話はあったが)
最初言葉が判らず、大変苦労する。 
エネルギー問題に関する目的があったが、今は全然違う仕事をしている。
最近フランスから講演依頼があって、フランスが去年、シルバーエコノミー、高齢者経済の国家プロジェクトを立ち上げて、世界中で情報収集を始めたが、それが私と結び付いた。
生きている間に起きることは皆何か意味があると、思います。
起こることを肯定的に捉える、そういう癖をつけておくと、一大事があっても動じないで済む。

寝たきりの老後に対する、前向きな生き方は?
①パソコン、タブレットなどインターネットを使って、仮に足が悪くなって外に出られなくなっても、い ろんな人とコミュニケーションを出来るスキルを持っていて損はない。
 今、75歳以上はうとい方が圧倒的に多いが、ツールがあれば、寝たきりになっても頭と指が使え れば、コミュニケーションができる。
②機器だけあっても話し相手がいないではだめで、コミュニケーションする相手、仲間作りを意識し た方がいい。
 会社にいるときはいっぱいいるが、地域縁、血縁、社縁が薄いと、「知縁」と呼んでいる、知的好  奇心が結ぶ縁で仲間を作っておくと、暇暇しません。
 
モットーは?
やらないで後悔するよりも、やって後悔した方がいい。
生まれは新潟の豪雪地帯、雪かきが重労働でやりたくなかった。
くたくたで学校から帰って、雪が凄い量ありとても無理だと思っていたら、父親から無理でもやるんだと、いって結局2人やってみて、無理そうだったが何とかできた。
例え無理そうに見えても、やれば何とかなる、と言う事を父親から教えてもらった。
シニアービジネスをやっている本当の理由は、シニアのためではなくて、次の世代、若者為です。
上の世代が元気よくやっていれば、次の世代は、いいねえ、粋だねえ、あんな風に生きたいね、と言う風に憧れ、モデルになるが、しょげていると必ず次の世代に伝わる。
最近の若者は内向き志向が強くて海外に行かないというが、その理由があるとすれば実はその親。
スマートエージングに実は7番目があってそれは
⑦自分の好きなことをやる。  と言う事です。
 これさえやれる人は生き生きしている。
自分がやってきたことを、次の世代に伝えて行きたいが、まだ発展途上で、若い人とも一緒に学ぶという事をやっていけたらと思います。