2014年12月22日月曜日

早瀬圭一(ノンフィクション作家)   ・「命」を追いかけて40年(1)

早瀬圭一(ノンフィクション作家) ・「命」を追いかけて40年(1)
早瀬さんは現役の新聞記者として活躍していた昭和53年、パーキンソン病を患っていた母を老人ホームに入居させました。
その事を新聞に載せたところ、3000通近くの投書が寄せられそのほとんどが痛烈な批判が書かれていたそうです。
それを機に取材を重ねて1981年東京都内の老人ホームの実態を描いた、「長い命のために」という小説を書き、翌年大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されました。

人間の命にかかわる様なことが、比較的多い。
単純な踏切事故でも、何でも命が絡んでいる。
社会部の取材は命が絡んでいる。 
警察庁、警視庁の担当は、なんか顔つきが普通の人よりも人相が厳ししい様な顔がおおい。
物を書くと言う事は自分と向き合うことでもあるし、取材対象に向き合うことにもなる。
最初は名古屋に新聞記者としてゆく。
14,5ケ所 警察署があり、担当する警察署にいく。 3つの警察署をそれぞれ担当する。
夕刊があるので、午後の1時30分がぎりぎりに締め切りになる。
午後からはそれぞれ町の催し物を、朝刊に地方版用の記事を書く。(街ダネ)

発生事件の裏側 直後だとなかなか口に出すことが無いようなことも、時間をおいてだと、事件に関してのことを話してくれることがある。
次に大坂に行く。
デスクの一人が私に、新聞記者として理想的なのはハンターであり、ライターである事、と言ってくれた。
取材力があり、文章も書けたら理想的だが、取材を沢山した方がいいといった。
取材に厚みが増してゆけば、文章が下手でもいいものが書ける、文章はデスクなどが直す機会もあるので。
いろいろ集めた事実のなかのどの部分に焦点を集めるかは個人によって違う。
ノンフィクションでも光の当て方、どこを強調するかによって、内容がどこを読んでほしいのか、読み手に伝わらないといけない。
山崎豊子 取材はしつこいぐらいする。
10取材したら、10全部書くな、取材した半分ぐらいに絞って書か無いと駄目だ、全部書こうとすると散漫になったり、鋭さが無くなり、事実がぼやけてしまったりする、半分は捨てる気持ちで書かないといけないと言っている。

「長い命のために」 40歳ちょっとすぎぐらいの時、母親が青山のマンションで一人暮らしをしていたが、2年目に倒れていて、病院に行き、パーキンソン病で最後は寝たっきりになると言われて、家で介護されるか、特別老人ホームがあると言われて、主治医としては特別養護老人ホームの方がいいのではと云われた。
特別養護老人ホーム等の事を調べて、見学に行く。
特別養護老人ホーム
毎月30万円掛かるとすると、全額負担から無料まで15段階に別れている。
当人、或いは扶養義務者がどれだけ経済的に収入があるかを事務所が調べて応分の負担をする。
非常にいい制度。
養護老人ホーム
経済的な理由、体は丈夫だが収入がない人達を対象 経費はいくらか毎月いくらかは払える。
有料老人ホーム
何百万円という頭金を払って、毎月15から20万円払う。

今は特別養護老人ホームに入るのに待機者が多い。 空きが出ないと入れない。
定員100人 200人であると10%以下ですね。
特別養護老人ホームに入る資格もあり、特別養護老人ホーム「中野友愛ホーム」が丁度出来るところだったのでたまたま母は入れた。
実際にいって見ると、想像してたようなところ(人生の吹き溜まりとか言った人いるが)ではなかった。
「記者の目」と言う欄に、特別養護老人ホームに母親をいれたことに関する経験談を書いた。
3000通弱の反響があった。(反発の声が9割以上)
TV番組にもゲストで呼ばれたが、後で考えると徹底的に叩きのめす為に呼ばれた様だ。
[恍惚の人]、[楢山節考」 その10年後にこの「長い命のために」を書いた。
原則として全部実名です。