2015年3月7日土曜日

加茂登志子(女性生涯健康センター所長) ・女性のうつに寄りそう

加茂登志子(東京女子医科大学付属女性生涯健康センター所長)       ・女性のうつに寄りそう
女性が生涯で鬱を発症する頻度は男性の2倍と言われる。
要因としては月経や妊娠、出産という女性だけが持つ身体の機能や女性特有の考え方、男性優位の社会環境など様々な事が考えられます。
女性の鬱に対して、正しく理解し、予防、治療、克服に繋げるためにどうすればよいのかを、加茂さんに伺います。

4大疾患 ①癌 ②脳卒中 ③心筋梗塞  ④糖尿病
2013年に5大疾患と言う事で うつ病が入ってくる。
精神疾患が一番患者さんの数が多い。  323万人
4大疾患は男性に多いが、精神疾患は女性に多い。
2011年の結果 20歳、30歳 女性が多い  40歳台でピークが有るが60歳台、70歳台で又増えてくる。
男性は40歳台でピークが有り段々下がってゆく。(山が一つ)
気分障害 単極鬱病(鬱のみ)と双極性障害とに分かれる。
単極鬱病は 女性は8.3%  男性は4.2%
双極性障害(躁と鬱) 女性は男性の5倍になっている。

憂鬱、気分が落ち込む、悲哀感、不安感、焦燥感等の症状が有る。
身体も変わってくる、睡眠障害、食欲(絶食、拒食等)も変わってくる。
頭痛、微熱、立ちくらみなどの自律神経症状を起こす。
便秘下痢、疲れやすくなる、月経不順なども起きる。
思考や認知の変化、自責感、判断力が落ちてくる、絶望感等。
大きく分けて気分と体と思考が鬱病の様々な症状を起こす。
男性と女性の違いはどこから来るかというと、性ホルモンと身体の違い。
脳に凄く影響を与える。
女性は生殖期間が男性よりも短いという事もある。
20歳~35歳迄が妊娠がしやすいと言われているが、この期間が社会の働き盛りとバッティングする。

性別役割分担によって経済的な地位、社会的地位が変わってくる。
収入が違ってくる、男性の7割と言われている。
子供を産んで育てる時期の過ごし方が日本で大きく違ってくる。
鬱病の発症に時期、頻度が変わってくるのではないか。
男性は就職、結婚と階段を上がってゆくが、女性は主婦寄りの人生を送る人、独身で仕事、その両方を行う人、更に出産が絡んできて子供のすだちが絡んでくる。
女性はいつ子供を産んだら自分の人生にとって一番良いのだろうと悩みます。
主婦寄りの人生は社会と孤立する。
出産、育児ストレス等で鬱になる人が多い。
独身寄りの人は、或る程度昇進できても、それ以上はなかなか行けない悩みが有る。
2030年までに女性の管理職を30%にしようという動きはあるが現実はなかなかついていかない。
孤独感がある。  更年期がやってくる。
ホルモンの変動が激しい出産以降が女性にとって大きな危機を作る。

ドメスティックバイオレンス 28%前後夫から手を挙げられたことが有ると言われて居るし、男性も10数%あるといわれる。
命の危険を感じる人は女性は4.5% 男性は1.6%と言われる。
鬱を発症する一つのきっかけになる事は往々にしてある。
職場の中の適応の問題、子供の世話をするため協力不在、複合過労。
ハラスメント 悩んで鬱病になってしまうという現状が有る。

エストロゲン プロゲステロン
女性ホルモン エストロゲンは卵胞を育てるホルモン
免疫能力を高めたり血栓を作りにくくしたり、気分を良くしたり、満足感を高めたりする。
セロトニン アドレナリン 鬱と関係している。 
神経の機能を高めて抗ドーパミン作用を持つ。
プロゲステロンは受精卵が着床したり発育したりすることを促します、又不安を抑えたりする。
鬱には主にエストロゲンが関係している。
エストロゲン受容体は全身にいる。
月経と言うサイクルの中で、エストロゲンが出るときとでない時が有る。
少なくなった時に問題が起きる可能性が有る。
月経前不快症候群、産後の鬱、マタニティーブルー、更年期でも共通した症状なんです。

鬱状態から鬱病を診断していく過程では、甲状腺の機能、膠原病、アルツハイマー的な事は無いか、色々な視点から見てゆく。
鬱病と判断された時は 単極か双極か、重症度、症状の特徴などを見てゆく。
定形症状、不定形症状(女性に多い 7~8倍)
治療 薬の効き方が男性と女性は違うという報告もある。
女性には様々な気を付けなくてはいけないポイント、チェックが有ります。
月経前不快症候群 いらいら、衝動のコントロールが難しい、倦怠感、眠気が始まり、子供、職場の人に当たってしまう。
ホルモンの補充、抗鬱薬を両方して良くなってくる。

大きなストレスや複数のストレスが重なるときに起き易くなる。
家庭内での悩み、パートナーとの関係がこの時に非常に重要な意味を持つ事が多いという事が判っている。
夫の定年は凄く女性にとっては大きな問題になっている。 
男性は定年退職するとリビングに居ることが多くなる。
女性が使っていた自分のための時間が奪われて、夫の昼食を作らなくてはいけなくなり、ストレスが積み重なる。

治療 薬物療法 無痙攣性電気ショック療法 磁気を使う療法 環境調整(休養を取りやすい状況にする、環境を変える)、家族が理解を持って協力をすることが重要。
精神療法 グループ療法(女性に効果が有る)
鬱になると言葉が出にくくなるので時間をかけてゆっくり話を聞いてあげる事が非常に重要。
原因追究をあまりし過ぎない、決めつけない、励まさない、という事も重要な事。
鬱病の治療は時間がかかるので待つという事は重要です。(最低1年以上は)
気分転換の手段を持つ事が大事。
憂鬱だと思ったら休みなさいよというサインだと考えて頂ければいいと思います。