2016年4月7日木曜日

玉村豊男(エッセイスト)     ・ブドウ畑で、寝そべって

玉村豊男(エッセイスト、ワイナリーオーナー)  ・ブドウ畑で、寝そべって
40年近くエッセー、絵画、講演、TV出演などに忙しい日々を過ごしてきました。
40代の半ばに長野県上田市の近くに農園を買って移り住み、悠々自適の生活を送るつもりでしたが、農園レストラン、ワイナリーまでオープンさせ評判を聞いたグルメファン等で連日にぎわっています。
これまで忙しく走り続けてきた玉村さんも古希を迎え、隠居を志願されるエッセー集を出版しました。
玉村さんが目指している隠居とはどのような生活なのか、伺いました。

標高が850m、北アルプスが見える。
引っ越して25年目になります。
血を吐いたりしたのがきっかけで、土地を探してここに来ました。
荒れていた土地でしたが、自分達が開墾したような感じで、600坪に500本の苗を植えてぶどう畑にしました。
0.2ヘクタールでしたが今は6ヘクタールになりました。
最初はワインは作るつもりはなかったですが、こんなことになりました。
58歳で1億6000万円借金をしました。
ワインはお陰さまで評価は高くなっています。
大学の時にパリ大学に奨学金をもらって留学しました。
学生食堂に行ってもワインがあり、そこで習慣がつきました。
今は毎日1本(私が3/4、妻が1/4)飲んでいます。

野菜も本当においしいです。
料理を自分でするのが好きで今でもやっています。
隠居をしたいと言う本を出版。
65歳になった時に、前期高齢者になって、ゆっくり自分のペースでやりたいとは若いころから思っていました。
人里から離れて田畑を相手に隠遁しようと思っていた。
朝は、今は6時には起きていて、夏は5時頃、日の出とともに起きています。
5~6時間寝て、昼寝を1時間ぐらいはしています。
夜中に起きることがありますが、いろいろ考えたりするのを楽しんでいます。
犬を3~5頭飼った時期がありましたが、今は柴犬一匹だけになっています。
散歩にはスマホを持って行く様に言われています、つまずいて倒れた時に対応できるようにという事を言われています。

電話は受けるタイミングを考えたりすると嫌いですね。
田舎に住んでいるとインターネットの普及は大きなものですね。
写真もきらいです、貰っても箱にしまって整理しないし、自分でも撮らないです。
風景画だけは写真を撮って描きますが、植物は実物を見ながら描きます。
父は日本画家でしたが、小学校上がる前に亡くなりました。(玉村方久斗
静物画を描く人が好きでイタリアのジョルジョ・モランディ、中世にジョヴァンナ・トルナヴォーニという女性の画家の静物画が一番好きです。
目の周りには植物、果物などがいっぱいあって、これが描きたいと思った時には他はほっぽらかして描きます。
隠居志願を本格化したいと思っています。
もともと自由業だけれども、一目見て判る様な恰好はしたくないです。

自分史は本の中で書いているので、書くつもりはないです。
日記もつけないです。
スケジュール表を作るのは好きです、大判のノートに20年近くつけていますが、スマホに最近は入れるようになってきています。
歳を取ってきて、どこかで身体的な感覚はずれてきているのかなあと思ったりします。
せっかちは治らないです。
私は死んだら速やかに火葬してもらって、その灰をぶどう畑に散骨してもらいたいと思っています。
ぶどうは人間と同じ位の寿命で20まで元気で実を付けるが、30位から収穫量が減ってきて、50~80位で代替えしてゆきます。
ワインには古い木の方がいいです、量は減ってしまいますが。
ぶどうの木は今25歳ですから、まだ先です。
これから美味しいワインができるので、続いて行くといいなあと思っています。

山に暮らす様になってから次の世代に引き継げる物は引き継いで、受け入れるかは彼等らの判断ですが、残して行ってやれたらいいなあと思います。
ワインに関して「ワインバレーを見渡して」という本を出す予定です。
勉強してもらってみんながワイナリーを作って貰って、一杯飲まして貰って、フウテンワイン老人みたいなものになりたいと思っています。
箱根の「玉村豊男ライフアートミュージアム」で新作原画展をやろうと思っています。