2016年6月13日月曜日

長谷川ゆき(「うみべの文庫」代表) ・”絵本”が結んだ 小さな奇跡の物語

長谷川ゆき(塩竃市「うみべの文庫」代表) ・”絵本”が結んだ 小さな奇跡の物語
2012年自宅の一階を改装して長年の夢だった絵本図書館「うみべの文庫」をオープンしました。
オープンから4年、文庫は週に2日間開館され、子供達と本を繋ぐ場、人々の出会いの場となっています。
絵本が大好きで長く読みき聞かせの活動をして来た長谷川さんはいつか子供達の為の文庫を開館したいと30年かけて一冊ずつ絵本を集めてきました。
しかし、2011年の東日本大震災で自宅は全壊、文庫の為に、集めてきた絵本も津波で流されてしまいます。
一旦は夢をあきらめかけた長谷川さんでしたが、本を流されたことを知った全国の人達が本を送ってくれるようになり、震災から1年8か月後、「うみべの文庫」はオープン、夢を叶えることができたのです。
長谷川さんはその後交通事故、病気に見舞われながらも文庫を続けています。

2000冊余りの本が全国から送られてきました、今では3000冊に近づいてきました。
小さいころから本が大好きで暇さえあれば本を読んでいました。
宮澤賢治が好きでした、少女が読む本等も大のお気に入りでした。
図書館に行って近所の子に読んでと言われて読んであげて、図書館の方からやってみませんかと言われたがその時は断りました。(交通事故で鞭うち症、杖をついて、胴はコルセット)
図書館の講座があり、行ったらとても楽しかった。
グループを作る話があり、連絡係を担当する事になる。
回数も毎月になり、いろんなところにお邪魔するようになる。
お年寄りの施設、病院、などいろいろなところから声がかかる様になり忙しくなりました。
人前に出るのが苦手で、慣れるのに辛かったです。
絵本が頂点にあって、読み手と聞き手が同じ地にいて絵本を楽しむという事が旨く出来たと思う時がとても幸せです。
同じ本を読んでも一回一回が全然違います。

絵本をたくさん集めていましたが、高校の国語の先生が文庫を開いて長く活動していたので憧れの様なことが根底にありました。
読み聞かせがイベントの様に扱われるのが残念に思いました。
オープンを2011年夏に予定をしていました。
817冊まで一人で集めてきました。(自分の好きなもの)
2011年の東日本大震災で自宅は全壊、文庫の為に、集めてきた絵本も津波で流されてしまいました。
通院して診察台に乗っている時に地震に遭い、誘導されて体育館に行きました。
主人も息子も深夜に避難所で顔を合わせる事が出来ました。
避難所は真っ暗で大人子供の泣き声などが交錯していました。
背中をさすって一緒に泣く事しかできませんでした。
語りの会で練習した「山の里の春」という話を、体育館でしました。
段々、子供に話した昔話や創作した話などもしました。
話の時間が認知されて、電気も点く様になって絵本も届くようになって、読み聞かせも出来るようになりました。
日常の生活自体も無くなってしまっていました。

一番大きな痛手で失ったものは本だったという事を話したら、或る人がインターネットで呼びかけてくれて、奇跡が起きて全国から絵本が届くようになりました。
思いのこもった宝物の様な本もメッセージと共に来ました。
仮設に入る人達への支援のための読み聞かせの為に週に3回行くようになりました。
主人から家には主婦がいないといわれるほど飛びまわっていました。
酷い経験をした皆さんと一緒に立ち上がらなければ私自身が歩いてゆく力が無かったのかもしれません。
朝、三陸道を走っていたときに、居眠り運転の車が私の車にぶつかり、救急車で運ばれたこともありました。
その後も赤信号で止まっている時に、追突にあったり、ぶつけられたのが10回位あり、大けがも2回あり、神も仏もないのかと思いました。

2012年11月 「うみべの文庫」がオープンし、責任の第一歩が果たせてホッとしました。
子供と大人と同じ位の割合で人が来て、吃驚しました。
本を手にして皆さんいい顔をして、浄化作用があるのかも知れません。
利用者さんの事、読み聞かせの本、私の感想を日誌の様に書きためて300日目になり、ノートは5冊目になります。
或る人からここには本が沢山あるが、本よりもホスピタリティーがありますねと言われて、なんだろうと今でも考え続けています。
震災からの時間はとても短いとも感じますし、物凄く長いとも感じる不思議な時の流れを生きている様な気がしています。
伝えなければならないことが見えてきた様な気がして、何があっても変わらないものをしっかり伝えていきたいと思います。
人間って素晴らしいなということかもしれません、人っていいなあと思いますし。
被災したり事故に何回もあったりして、神も仏もないという話もしましたが神も仏もいました、人と人との繋がり、奇跡も見せてもらいました。
体調は崩していますが、一日でも長く、一回でも多く開館したいと思っています。
(最近体調も悪く送られた本も整理ができずにいて申し訳ないと、手紙、絵本の受け取りはお休みだそうです)