2017年1月12日木曜日

秋山正子(「マギーズ東京」センター長) ・がんから自分を取り戻す

秋山正子(NPO「マギーズ東京」センター長) ・がんから自分を取り戻す
66歳、去年の10月10日、東京豊洲に癌患者支援施設、「マギーズ東京」が日本で初めて開設されました。
マギーズ東京は無料でがん患者や家族がいつでも気軽に看護師や心理師などの専門職から支援を受けられる、イギリス発祥の施設でイギリスには19か所ありますが、海外では香港に次いで2か所目です。

オープンしたのは去年の10月10日で、その週に関しては1日、30人近くのかたが来所ました。
最初の1週間は予想以上に多かったです。
名古屋、四国、鹿児島、北海道などからも来ました。
長いこと治療を受けているが、生活上のちょっとした悩み、味覚が変わって食欲わかないのでもっと詳しく知りたいとか、選んでいる治療をこのまま続けていいのか、セカンドオピニオンを求めていきたいが直接に聞いていいかどうかためらう方もいるので、悩みを家族に、医者には言えないとかあり、ワンクッションおいた相談するところがなかなかないとおっしゃいます。
話せたことだけでもホッとしたと言う方もいます。
最近ではがんの治療自体は非常に進歩したので、割と直ぐに診断は人に告げられて、治療の方法なども伝えます。
最初の説明だけで頭が真っ白になってしまって、ふっと我に還った時は、えっと思ってその後の説明にたいしては耳に入ってこない事がままあります。
立ち止まって考えたいが、治療の流れがスピードアップしてきていて、そこの流れに乗らざるを得ない。
病院の外にも考える場所が必要だと思います。

あれも聞けば良かったこれも聞けば良かったと言う事が多いので、ここでは医療的知識が有る友人の様な構えで話を聞く様にとなっています。
看護師が多い、臨床心理士、栄養の相談もあるので栄養士もきています。
病院とのトラブルはないです。
患者さん、家族、友達などをも含めて相談に乗ります。
がんで家族を亡くした後の遺族の方も来て、相談することもあります。
息子をがんで亡くして4年経って悔いが残っていて、涙が止まらないとかで相談に来ますが、、看病に関してはきっと感謝していると言う様なことで、慰めたりしています。
自分の道を選んでいける、自分でちゃんと歩いて行けると言う風に変わってゆく姿が見えるのでうれしいです。

2008年に国際がん看護セミナーが有り、築地がんセンターで行われて、11月に私自身もプレゼンテーターとして、日本の癌患者の家族への支援という事で発表して、イギリスのエジンバラからマギーセンターのアンドリュー・アンダーソンという看護師が来て、マギーセンターのことについて話してくれて、これは今すぐにでも日本に必要だと思いました。
1992年から訪問看護をやって来て、もう治療が有りませんといわれた途端、放り出されるような格好で看護ケアーのほうにきて、家で過ごす時ももうすこしいろいろな情報が有って家で過ごす時もいろいろ工夫が有るのではないかと思っていました。
アンドリューさんと連絡を取り3カ月後に見に行きまして、日本に導入したいと思いました。
予約はなくていい、時間の制限はない、無料と言う事で、看護師がいつも常駐していて対応している。
マギーさん(がん患者)が病院ではないリラックスできる空間が欲しいと言う事で看護師ローラさんに相談して、ローラさんがその初代のエジンバラのセンター長です。(1996年に開設)
看護師が中心になって広げていきました。

よーく話を聞いて、聞く看護が大事だと思ったので是非にと思いました。
組織は病院とは別だが、病院も近くに有る。(マギーセンター 病院の敷地内に有る)
先ず相手の話を聞いているうちに何が一番心配なのかを段々わかって来て、そこに当人が思い当たる、それに気がついて歩きだす、それが解決出来るようにお手伝いをする。
アンドリューは男性の看護師で、前立腺がんには知識が豊富で、相談に来た時に治療のことが心配なのかと思って話をしようとしたが、それをのみ込んで聞いていたら、彼は治療ではなくて一人暮しで大事にしているペットを飼っていて、次の治療の時に入院しなくてはいけなくて、ペットの事が心配だったと言う事で、信頼出来る飼育先を見つけないと安心できない、という事で一緒に選ぶことになった。
その後情報をやり取りするようになって、アンドリューとは信頼関係が出来たと言う事です。
一緒に考えて、本人が決めてゆくプロセスを支援をする、という事です。

イギリスには19か所あります。
香港が一か所、日本ではここの一か所です。
海外でも、バルセロナ、オーストラリア、カタールなども準備をしているそうです。
ここは全部チャリティーで行われていています。(一部行政)
建物の費用は、準備で先ず仲間が集まって計画を練って、NPO法人にしてチャリティーを行ってお金を集めてこの建物を立てました。
2014年に乳がんの患者だった鈴木美穂さんが、国際がん患者の集いにウイーンに行った時に話をしたら、貴方が思っている事と同様なことをすでにイギリスのマギーがやっていると言う事で、彼女も知って、日本でも作ろうとネットで展開したら、秋山正子という名前が出てきて、そして私は鈴木さんと出会いまして、加速しました。
いろんな分野の人と一緒にプランを練るようになって、どう多くの人に知ってもらうかとか、チャリティーの有効なやり方など、多くのことをやって仲間をたくさん作り、鈴木さんは当事者でもあるので、多くの人が賛同してくれてこの形になってきました。

姉が41歳で肝臓がんで亡くなって、その時に家に連れて帰って看ましたので、余命一カ月といわれたが5カ月子供らと一緒にいれて、そして訪問看護を長くやって来て、何か足りないんじゃないのかなあという事で出会ったのがマギーセンターでした。
鈴木さんとの出会いもあり本格的になりました。
バーニーセンター長が言ったのは、その方の一番の専門家は患者さんそのものですよと、その人自身がどの様にその病気を受けとめて、どう感じ、どう考えているかを先ず大事にして、耳を傾け何を一番の不安に思うか、そこに行きつく、そのために本当に必要な情報は何かを一緒に探し寄り添ってゆく、それが大事だと言っています。
自分で病院内にある相談制度にもいって、聞いてこようとかの勇気になればいいと思うし、医師に聞く事をきちんと整理して聞く事で、治療の流れがスムースになるのではないでしょうか。
病気後の復職することに対しても、いろいろな部署と相談して、自分で考えて自分で職場の人にも話して復職する事が出来ましたと言う様な事もあります。
相談することにより、気持ちが緩んでくると大分違います。
日本にも金沢、広島、京都などにも計画とか、出来始めています。