2017年1月20日金曜日

大森和夫・弘子(国際交流研究所所長)・日本語普及は私の人生

大森和夫・弘子(国際交流研究所所長) ・日本語普及は私の人生
これまで28年間にわたって中国の日本語学習者向けに、日本語教材を発行し続け日本の理解に貢献してきました。
おととし、75歳になった事を節目にこれまでの活動に一応のピリオドを打ち、今度は世界の日本語学習者がだれでも無料で勉強できるデジタル日本語教材を作りそれの普及に取り組んでいます。
「日本という国」と名付けられたこの教材は日本の政治、経済、歴史、文学、日本人の生活など今の日本の姿を伝えるものでインターネット上に掲載されて、世界のどこからでも利用することができます。
この教材は大森さんの小さな部屋で作成され、全世界に向けて発信されています。
反響は大きく、アジア、ヨーロッパ、南米からもたくさんのメールが届いています。
*参照
 http://asuhenokotoba.blogspot.jp/2012/10/blog-post_1.html
 http://asuhenokotoba.blogspot.jp/2012/10/2_2.html


4畳半が発信地になっています。
インターネットで全世界に日本語教材が発信されている。
パソコン2台を夫婦で駆使して原稿を作って発信する繰り返しです。
国際交流研究所所長(夫)、編集長(妻)
いろんな国からメールが入ります。(日本語教材に対する感謝の言葉とか)
28年間に渡って主に中国に対して教材を作ってきました。
30年目に新聞社に勤めていたときに、各国の留学生を取材しましたが、中国からの留学生の一言が胸に刺さりました。
日本の事をもっともっと理解したいのにそれができないのが残念で、日本が嫌いになって帰国する友達や、日本に不満を持っている留学生が少なくないという話でした。
せっかく日本語を勉強して学んで頑張っているのに、それを実現できないまま帰国してしまうことは日本にとって大きな損失だと思って、何とかしたいと思いました。
日本のファンになってもらいたいと、会社を辞めて、日本語教材作りを始めました。

弘子:当時子供が3人いましたので、大変でしたが、私も協力したいと思いました。
3年のつもりでやり始めたのですが、30年近くになりました。
平成元年3月から始めました。
年4回発行してスタートしました。
イラストも私が書きました。
和夫:日本語で日本の国と日本人について判りやすく書いて日本を理解してもらうということは中国の留学生だけでなく、世界の留学生に読んでもらいたいと思って作って、その後状況が変わりましたが、創刊号は26ページぐらいですが、4万冊発行して、留学生の多い日本国内の大学、日本語学校など200か所に無料で送ったり、中国の大学など日本語学科にも無料で送りました。
おととしまでに31万冊以上、主に中国に寄贈しました。

和夫:世界中でどのくらいの人が勉強しているのかというと、おととしで137の国地域で369万人の若者が日本語を勉強しているという数字が出ている。(公式なものだけで)
外国の留学生がおととしで20万人を超えている。
400万人以上の人が現在日本語を勉強している。
大切な民間大使だと思っていて、日本を正しく理解してもらうことが重要だと思っています。
昨年9月に世界の日本語学習者が、いつでも、誰でも無料で勉強できるデジタル版の日本語教材をインターネットで公開しました。
調査していろんな所へデジタル版の教材の案内を送っているところです。

弘子:これまでの教材に加えて新しく日本の事を詳しくと思って、四字熟語、慣用句、早や口言葉などいろいろ加えて、増やしました。
和夫:日本の姿、国の形と仕組み、歴史、以前、伝統文化、日本語、文学、日本人の行動様式、和食、日本語のいろいろ、とこれだけは知ってもらいたいという内容を盛り込んでいて231ページになります。
世界各国からいろいろ反響があります。
初級者向けと上級者向け、上級者向けを電子書籍にしたもの、3つになります。
弘子:閲覧数が1万8000を超えていて、30カ国の80以上の大学の先生、学生から反響があります。
和夫:ルビをつけたり付けなかったり、そこの判断が難しいところがありました。
ルビの間違いの指摘なども頂きました。

和夫:日本語作文コンクールをやっています。
今まで留学生を対象に5回、中国の大学生を対象に16回やってきて、日本への理解が深まったという感想が来て、世界の日本語学習者を対象にやってみようと始めました。
「日本はどんな国だと思いますか?」というのがテーマです。
500~1000字以内で募集し始めました。
一部(大学生など)、二部(小学生~高校生、社会人など)に分けて募集しています。
弘子:文部科学省、国際交流基金、朝日新聞などに協力していただいています。
4月15日が締め切りになっています。
和夫:5月下旬には6人の先生に最終予選で順位を決めていただきます。
おととし75歳になり、中国との交流を終わって、77歳までには何かをしたいと思って、デジタル版の作成と日本語作文コンクールにたどり着きました。
喜寿のお祝いに優勝した国に行って表彰したいという夢があります。

和夫:作った教材が中国の大学で教材として使われていること、教材を使って勉強しているところなど目にするたびにやってよかったとしみじみ感じます。
第6回の中国での作文コンクールをやった時に、祖父が日本軍に殺されたので、もし私が日本語を勉強しなかったら一生日本を恨んで、日本を正しく理解しなかったかもしれない、という作文がありました、やり甲斐につながったと思います。
弘子:活動の幅を広げると人に迷惑をかけるのでマイペースを守るようにしました。
ボランティアではなくて日本語を勉強する学生さんと一緒に私たちも学びながら人生を豊かにしたいということが夢だったので、無理をしないでマイペースで続けてきたのがよかったと思います。
和夫:最初は退職金でやれる範囲でということでしたが、評判が良くて、私財を出したり、個人のカンパなどもあり続けることができました。
夫婦だけなので人件費はゼロなので、これが長く続けられた秘訣かもしれません。
弘子:反響も凄くて協力者も増えて、老後の資金も崩して、何とかなるでしょうということでここまで来ました。
和夫:次の世代に期待しなければいけないこともあり、誰でも活動できると思うので、若い世代は日本語で世界に目を向けてもらいたいと思います。
1年に一回は新しいデータを書き加えて更新しないといけないので、これから日本を正しく理解してもらうことは必要なので、日本語デジタル教材を引き受けてくれる若者、あるいはまったく新しい日本語デジタル教材を発信する若い世代が出てほしいと願っています。