2017年2月21日火曜日

酒井田柿右衛門(陶芸家)  ・自分なりの“柿右衛門”になる

酒井田柿右衛門(陶芸家)  ・自分なりの“柿右衛門”になる
先代の人間国宝14代柿右衛門さんは2013年6月に亡くなりました。
翌年の2014年2月4日に父の跡をついで浩さんが柿右衛門を襲名した。
窯の歴史は江戸時代初代柿右衛門が赤絵の技法に成功したことから始まります。
濁手(にごしで)という乳白色のやわらかい色の磁器に赤や緑の花や鳥草花が描かれる柿右衛門方式は、17世紀に欧州に広く紹介されて広く知られるようになりました。
第15代柿右衛門さんは1968年生まれ、48歳、佐賀県伊万里高校から多摩美術大学に進学、1994年に佐賀県有田に戻り先代の父に師事して陶芸の修行に入りました。
現在柿右衛門を襲名して3年が経っています。
伝統という決まりの中で自分なりの気持ちの入った焼き物を残したいという柿右衛門さんに伺いました。

去年有田焼創業400年で凄く忙しかったです。
父が亡くなったのがまだ4年なのかという様な感じで、又大分前だったような感じもします。
2014年2月4日に15代を襲名、まる3年が経ちました。
襲名は家を継いだら戸籍まで変わります。
裁判所で許可を貰って、許可証を持って役場に行って改名届をします。(45歳)
父の名前の印象が強かったので、私の行動範囲が違うので、ファミレスとか行っていたので、最初のころは違和感がなければいいなあと思いました。
自分のスタイルが私にもありますので、自分なりに新しくイメージを作らなければいけないとは思っています。
13代とはあまり話した事はないです。(中学のころに亡くなる)和服が記憶に強いです。
父は着物も着ましたが、普段は背広などを着てました。

祖父は職人に対して厳しかったが、父はそれほどでもなく、あまり褒めることはなかったです。(綺麗好きだった)
私は子供のころは魚釣り、野球をしたり外で遊んでばっかりしていました。
後を継ぐものだとは思っていました。
妹が3人居ました。
轆轤を回したのは25歳で帰ってきて、その後でした。
高校は伊万里高校の普通科でした。
中学、高校と陸上部でハードルをやっていました。
伊万里地区で中学の記録を作って、高校時代も高校総体に出ました。
県の合宿とかで新しい友達が出来たりして楽しかったです。

福岡県の八女(八女茶の場所)と言うところがあって、侍をしていて佐賀の龍造寺氏と言うところと戦をして負けて、佐賀に連れてこられてしばらく住んでいて、焼き物の原材料が見つかったというタイミングで侍を辞めて窯屋になったという流れです。

あんまり美術をやっていなかったんで畑違いでしたが、3浪して多摩美術大学に行きました。
中退して戻ってきて、最初は轆轤を4年間やりました。
土が一番核になるので土の特性を知らないといけないので、その加減が判って話さないと、職人とも親身になっていけないので、最初に習っていて良かったと思います。
うちの焼き物の厚みがあるので、この厚みでその形が出来るかどうか、その辺の感覚が大事です。
濁手(にごしで)の昔ながらの色にこだわって仕事をしていましたが、濁しはコメのとぎ汁の色のことをいいましが、その色は変えてはいけないし、昔ながらの原材料を使った色絵、絵の具も変えてはいけないが、感性、今の時代に合ったものも作っていかなければいけない。

感覚的なところは段々変えていくということは、分けて考えていいと思っています。
12代は絵が大事、13代は轆轤が大事、14代はどっちかと言うと絵の方だと思います。
13代は奇抜な形も導入していました。(民芸運動が盛んな時代だったから影響も受けながら)
14代はオーソドックスな形、理想的な形はどういう形かにこだわっていました。
轆轤の後、父には絵のデザインの関係を教えてもらってきました。
大学への進路の時ぐらいに話したぐらいで、父とはほとんど話すことはなかったです。
仕事の話を始めてから話すようにはなり、デザインの話をするときには30分ぐらいはこちらが黙っていても話をしてたりしました。
スケッチはすべての事が基本になるので、、絶対に続けるようにと言われました。
昔ながらの材料がなくなってきているので、確保するようにとか、いろいろ言われました。

父の病気を最初聞いた時はポリープをとれば大丈夫というような感じだったのでそれほど心配はしていなかった。
肺に転移したが、でも急いで習わなくてはいけないというイメージはなかった。
ほめられた覚えはないです、悪いと思ったところを指摘するという感じでした。
もうすこし時間が欲しかったですね。
父は焼き物に関して妥協は決してなかったです。
息子はまだ今年小学生ですが、16代は絶対継がせようと思っています。
絵を描くのが好きなので向いているかもしれません。
材料は同じ場所で取っても成分が違うので、何対何で調合したらこうなるというようなことはあんまりないので、秘伝と言うようなものはないです。
今の物を自分で工夫しないと駄目です。