2017年11月1日水曜日

小島秀康(国立極地研究所名誉教授)    ・隕石からのメッセージ

小島秀康(国立極地研究所名誉教授) ・隕石からのメッセージ
南極大陸や北極圏の観測研究を行う国立極地研究所で長年隕石の調査研究を続けて来ました。
隕石は世界中で見つかりますが、これまで最もたくさん発見されている場所は南極大陸です。
現在までに確認されている隕石のおよそ70%を占めると言うことです。
小島さんは日本に隕石の研究者が少なかった1970年代から研究を始め、南極観測隊にも5回参加して一度は隊長も務めました。
南極ではその都度多くの隕石を発見して、世界でもっとも多く隕石を見てきた研究者の一人と言われています。
現在も隕石とかかわりを持ち続けている小島さんに伺いました。

2013年2月にロシアのチェリャビンスク州付近に落ちた隕石、間違いなく隕石だと思いました。
隕石自体は古い、地球が出来た時と同じ頃に出来て、特徴としては地球の空気を通り抜けてくるので溶けた跡が残っているので、それがあれば隕石と判ります。
大きさは小さいものから大きいものまであります。
小惑星帯(火星と木星の間に有る)所からくると言われているが、そのほかに月、火星、彗星からもきます。
宇宙が出来たのが138億年前と言われているが、太陽系は46億年、1サイクル、2サイクルぐらいたちます。
地球にある石は40億年位です。
プレートテクトニクスで地球の内部に引き戻されて、溶けてしまうので溶けてリセットされてしまう。
地球の年齢も46億歳 宇宙から来た隕石によって判りました。
隕石がどういう鉱物で出来ているかなど興味の対象によって色々変わって来ると思います。

小惑星帯は隕石のもとになる天体が沢山分布しています。
ぶつかって弾き飛ばされて、飛び出したのが隕石です。
最終的には太陽に落ちて行ってしまいます。
太陽は引力が強いのでものを全部引き集めます。
太陽に落ちる一部分がやって来たのが地球と言うことになります。
月、火星、彗星からもきます。
日本の南極観測隊は1万8000個隕石を集めていますが、月は10個程度火星も同様です。
落ちてきたのは2000年から数万年前に落ちたと言われています。
46億年の姿をとどめているのは隕石しかなくて、地球の古いことを知ろうと思うと隕石を調べるしか手がないです。
隕石は遠い過去からの手紙だと思っています。

長野で生まれて子供のころは川の石を集めていました。
石の美しさに魅かれました、犀川のヒスイとか。
球顆流紋岩 (青みがかった黒い球形状)の特殊なものがたくさん見つかりました。(小学校高学年)
中学の時はバレーボール、高校は地学をやっていました。
北大を目指したが、大学は秋田大学でした。
鉱山学部が有名でした。
先生が純粋な岩石学者でした。
どういう鉱物で出来ているか、1~3ミクロンでも組成が全部判る様な分析装置があり、それを使って花崗岩、変成岩を作り出している鉱物を分析をしていました。
出来た時の温度条件などが判ります。
隕石と出会ったのは南極に行ったときで、1978年に初めて南極に行きました。
大学院を出てすぐの時でした。

地学のリーダーだった人が極地研の人だったので、先輩だったのが縁でした。
第20次越冬隊に参加、越冬隊が3回、第39次(1997年から)第44次(2002年から)、夏隊が2回 第27次(1985年から)、第51次(2009年から)5回参加。
第44次越冬隊隊長も務める。
最初行ったの時の印象がすごく強かった。
音のない世界、風の音しかなくて、風の音がないと音のない世界でした。
南極観測隊はそれぞれのプロが行っているので、半分は研究者、それを支える立場の人で、凄いと思いました。
昭和基地から300kmのところに行く機会があり、隕石が見つかるだろうという期待があり、トータルで3000個を超える隕石が見つかり、月の隕石も見つかりました。
気候のメカニズム、まわりが氷、雪なので岩石質のものが判りやすい、それが南極で多く見つかる要因だと思います。
隕石がある氷の層が動いて行って、ぶつかる山、山脈のある地形でないと見つかりにくい。(当時の情報量はすくなかった)

氷は蒸発して隕石だけが残る。
一サイクルで80万年とかかかります。
南極は宇宙空間に開かれた窓といった感じです。
越冬しないと隕石を探す様な状況は生まれなかった。(探すのは夏場)
私の隊では1万8000個のうち半分ぐらいは見つけ出しています。
大和山脈まで2週間かかります、調査期間を入れて3~4カ月かかります。
他にはアメリカなどが主体になってやっています。
分類、整理、保管をしますが地味で根気が要ります。
一個一個重さを測り、見栄えの良し悪しなどを調べます。
ざっと60種類に分けられます。
炭素質隕石(溶けて居ない隕石 有機物を含まない様な隕石数百個に一個ぐらい)に特に興味があります。
一個一個は宇宙全体を表している駒と言うふうに考えることが出来るので駒が有ればある程画像が鮮明になるので、隕石はたくさん集めたほうがいいと思います。
今は情報を集めるために極地研にいっていると言った方がいいかもしれないが、本当はもう一回南極に行きたいが。
一般の人に隕石をもっと知ってもらいたいと思います。