2017年11月27日月曜日

橋本淳(作詞家)            ・【謎解き うたことば】日本語学者 金田一秀穂

橋本淳(作詞家)            ・【謎解き うたことば】
日本語学者 金田一秀穂(聞き手)
グループサウンズのほかにポップスも書いています。
その代表曲が「ブル-ライトヨコハマ」。
日本語のベースを作っているような感じがします。
「足音だけが付いてくるのよ。」と言う様な言葉はいいと思います。毒気がない。
後味がいい感じ。
歌手の持っている体質もあるかもしれませんね。(石田あゆみ)
作詞家は歌の世界では影の存在というか、主役はメロディーラインだと思います。
昭和期の後期はメロディーラインで、ダンスが身体で表現する音楽の一つの形になってきているので、そういうものに負けない、メロディー、歌詞がまだ出ていないと思う。
秋元さんは素晴らしくてAKB、乃木坂など、どんどん言葉の世界に歌謡曲をひっぱっていって凄いと思います。

誰からも抑制の無い、そういうところから出てくるものが、次のページを開くためには、そういう力が必要だと思います。
日本語であっても世界に通じるとか、そういうことが出来た時に新しいものが来ると思います。
かつては西条八十、北原白秋とかいたが、 歌手主体となって来る。
私がラッキーな時代に生きたと思うのは、専属制度の中でフリーだったのでこの歌詞はおかしいとか、面白くないと言う様な事を言う人が誰もいない。
今はそれでみんな潰してしまうのではないか、万人がわかるものなどこの世にないと思うんです。
父が与田凖一、作品は読んだことがない。
うちの父親はこどもは大嫌いでした、食事など一緒にしたことが一度もない、記憶にない。
生まれたのは北原白秋の家で生まれたそうです。
北原白秋の家で生活していた。
16歳で免許を取って、壇さんとは子供のころから行ったり来たりしていて、壇さんが亡くなる時に能古島に漁師小屋みたいなものを買って一人でいたが、壇さんとは一時期車で運転手をしてずーっと旅をしたりしたようです。
壇さんは人間としてバランスがいいし、物事の捉え方が素晴らしい。
壇さんから君に足りないのは観察力だと言われました。
人を否定しない先生で、全て肯定して観察眼の中から真実を見つけろと言う様な、そういうことを壇一雄さんから教えられました。
新聞の3面はいつも見ていようと思いました。

客観的な描写が実は気持ちをとっても深く表現してしまう。
想い出を刺激するような歌をいつも作りたいと思っていました。
梅崎春生さんとの付き合いも有りました。(新聞小説からの関係から)
梅崎さんは肝硬変になられて、強いウイスキーをがぶがぶ飲んで亡くなって行く、身の震える様なものを観て来ました。
「桜島」と言う小説で飛行機で自害出来ずにウイスキーで自害する、何とも言えない悲劇、特攻隊と言う悲劇、運命をどうくくるか、壮烈な心の中が有ったと思います。
僕が大学生のころだと思います。
川端康成さんとは父親が交流があって、夏に鎌倉に何年か泳ぎがてら行っていました。
平尾昌晃さんも亡くなりましたが、ぼくと歌を作るなんて思っていなかったともいますが。
平尾さんは僕のようなタイプの作詞家とはやったことはなかったと思う。
「カナダからの手紙」は平尾さんとは初めてうまくいったと思います。
一時期、一日10曲、同時に書いていました。

40歳ぐらいの時に突然売れなくなった。
売れるという予感みたいなものは有ったが、売れそうだと思っても売れないことがあり、気が付いてみたら自分が要らなくなって来たんだと思って、止めようと思いました。
それから41,2歳位で止めました。
20年位で2000曲ぐらいやりました。
時代時代のヒット曲が要るのに、秋元さんのAKB、乃木坂など、そういうものだけではさみしいと思うので若い人が出てきてやってくれればいいなあと思います。
なかにしれいさんは凄いなあと思います。
演歌っぽいしゃけ、にしんがどうしたと言っていても、根は女なんだもの、根底の目が僕に無いもので、本当に力のある女性像というのが僕には想像できない世界、女性を描かせたらあんなすごい人はいない、凄いと思う。
好きな作詞家は岩谷時子さんです、大好きです。
先駆者です、本当にすごいと思いました。

今78歳で、水泳が好きで週に3日ぐらい泳ぎますが、プールから上がって鏡の前に来ると、何だか歳を取った爺さんがいるなあと思うと、自分なんです。
自分の気持ちは泳いでる気持ちなのに、身体は死人のようになっているギャップが自分の中で解決できない。
精神的な世界が歳を取るとどんどん遠くなってしまって、精神的な世界を活発にしようと思う時は肉体が付いていかない。
肉体が衰えてくると、精神世界がどんどん遠くなっていってしまう。
本の中とか、そういうところから刺激を受け無くなって来て、精神力がおとろえてきて、あまり気持ちに影響がなくなってしまう。
だから童話だとかを読んでみようかと思っている。
奥行きのないものと思っているものの中に、以外にそういうものがあると思ったりします。
今の日本の言葉の使い方、言葉は時代とともに生きているからドンドン変わって行く。
それはいつも絶対正しいと思います。
歴史、思想が判っている方がいれば乱れ切っているもの、なんでも歳とともに濾過されていってしまう。

歌詞でもそうだと思うが、日常化したものを日常的に表現して行くから、そういうふうに薄くなるのではないんでしょうか。
AKBとかが同じものが団体になって歌っていると言うのが今の表層の形だと思うが、良い悪いは無いと思います、時が移れば消えていくし、次のものが出てくる。
時代が変わればきっと違うと思う。